2021年3月31日水曜日

[AI関連発明]ノッキング判定装置(特許6651040)

 (登録例26)

 内燃機関のノッキング音の音圧を推定する装置である。出願当初の請求項は次のとおりであった。

【請求項1】(出願当初)  内燃機関で発生するノッキング音以外の雑音を除去し、前記雑音が除去された内燃機関の音圧を推定する推定装置であって、  ニューラルネットワークにより、前記雑音を除去し、かつ、前記ノッキング音を抽出するマスクを用いて、前記雑音が含まれる内燃機関の音圧から前記雑音が除去された内燃機関の音圧を推定する第2推定部、 を備えることを特徴とする推定装置。

 これに対し概略次のような拒絶理由が通知された。
 すなわち、引用文献1に、閾値を用いて内燃機関の音圧を推定する装置が記載され、雑音を除去するマスクをニューラルネットワークにより構成することは従来周知の技術であるから、進歩性を有しない。

【請求項1】(特許クレーム)   内燃機関で発生するノッキング音以外の雑音を除去し、前記雑音が除去されたノッキング音を推定するノッキング判定装置であって、
  ニューラルネットワークにより、前記雑音を除去し、かつ、前記ノッキング音を抽出するマスクを生成するネットワークの重み、及び、前記マスクにより抽出されたノッキング音をノッキング発生時の内燃機関の筒内圧に変換する伝達関数を学習する学習部と、
  ニューラルネットワークにより、前記マスクを用いて、前記雑音が含まれるノッキング音から前記雑音が除去されたノッキング音を推定する第2推定部
を備えることを特徴とするノッキング判定装置。

 ポイントは、雑音を除去してノッキング音を抽出するマスクに加え、ノッキング音を内燃機関の筒内圧に変換する伝達関数を学習する点である。
 これは、「本願発明では、教師データとして理想的なノッキング音の測定が困難なため、エンジンの近傍音に構造減衰補正量の逆数(伝達関数)を乗算すれば、エンジンの筒内圧を推定できることに着目」しているからであるという。
 つまり、どんな音が理想的なノッキング音かは主観によらざるを得ず、理想的なノッキング音の測定は困難なので、測定した音をエンジンの筒内圧に変換する伝達関数を導入することで客観的に評価できるようにした(筒内圧なら推定値と実測値の誤差を評価できる)。
 この発明は、評価が困難なパラメータを、客観的に評価できるパラメータに変換する伝達関数を合わせて学習するという工夫し、機械学習を可能にしたものである。

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