(拒絶例3) 情報処理装置
【請求項1】 複数のオブジェクトを使用する電子ゲームに関するゲーム進行履歴であって、ゲームにおいて影響を与えているオブジェクトの情報を含むゲームの状況の情報、当該オブジェクトのうち当該状況において使用されたオブジェクトの情報、及び当該オブジェクトの使用によって生じたゲーム上の効果を示す情報を含むゲームログ、に基づいて、前記オブジェクトの各々の特徴を表す特徴ベクトルを学習する表現学習部を備える情報処理装置であって、 前記表現学習部は、前記ゲームのターンtにおける前記ゲームの状況の情報gtから当該ターンtにおいて使用されたオブジェクトct1の情報を除いた情報と、当該オブジェクトct1に関する情報と、を組み合わせた情報(gt,ct1)を入力として、当該オブジェクトct1を使用した際の前記ゲーム上の効果の情報rtを教師データとして表現学習を行うことによって、前記複数のオブジェクトの種類の数より少ない次元数で前記複数のオブジェクトの各々を表現した前記特徴ベクトルを求めることを特徴とする情報処理装置。
本件発明は、人工知能エージェントを学習するために適した表現学習を実現するものである。具体的には、多数のプレイヤのログに基づいて学習を行うことを考える。もし、ゲームに登場するオブジェクトが数百種類もあると、各オブジェクトがどのような場面で使われたか、というログに基づいて学習をするにしても、なかなかうまく学習ができない。そこで、似たようなオブジェクトをまとめて特徴ベクトルを生成する(→次元を圧縮する)、というのが本発明の構成である。
出願当初請求項では、次元について明確に規定しておらず「少なくとも1つのオブジェクトの情報を除いた情報」を用いて学習を行うと規定されていた。これに対して、leave-one-out交差確認の手法は機械学習の分野において広く知られているとして引用文献と周知技術との組み合わせで進歩性が否定された。
これに対して、出願人は、「少ない次元数で前記複数のオブジェクトの各々を表現した前記特徴ベクトルを求める」こと等を規定し、これに基づく反論を行った。
審決は以下のとおり、出願人の主張を排斥した。
「引用文献2-3及び参考文献1に記載されるように,機械学習の分野において,特徴ベクトルに含まれる特定のパラメータを削減することにより特徴ベクトルの次元を小さくする演算手法は,広く知られたものであった。・・・引用発明において上記周知の手法を採用することにより,特徴量ベクトルの次元を小さくし,複数のキャラクタの種類の数より少ない次元数で当該複数のキャラクタの各々を表現するように構成することは,当業者であれば容易になし得たものである。」
要するに、特徴ベクトルの次元を小さくすることは周知であるから、これを適用することに困難性はないというものである。拒絶例2と同様であるが、発明独自の部分において差別化をしないと、一般的に知られた手法をいくら大仰に構成要件を追加しても特許性は認められない。
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