(登録例12)構造物の異常判別方法
【請求項1】
建築物からなる構造物から測定される振動データを状態判別モデルに入力することにより、前記構造物の異常を判別する構造物の異常判別方法であって、
前記状態判別モデルは、データベースに格納されている正常振動データ及び異常振動データを含むビッグデータに基づいて、人工知能を含む機械学習及び統計学的手法を用いることにより作成したものであり、
前記状態判別モデルに測定された前記振動データを入力し、当該状態判別モデルからの演算結果に基づいて、前記構造物の現在状態を判別することを特徴とする構造物の異常判別方法。
建築物からなる構造物から測定される振動データを状態判別モデルに入力することにより、前記構造物の異常を判別する構造物の異常判別方法であって、
前記状態判別モデルは、データベースに格納されている正常振動データ及び異常振動データを含むビッグデータに基づいて、人工知能を含む機械学習及び統計学的手法を用いることにより作成したものであり、
前記状態判別モデルに測定された前記振動データを入力し、当該状態判別モデルからの演算結果に基づいて、前記構造物の現在状態を判別することを特徴とする構造物の異常判別方法。
請求項を読んで分かるように、このは発明は、状態判別モデルを予め機械学習及び統計学的手法で作成しておき、測定された振動データをこの状態判別モデルに適用するということを規定しているだけである。
審査の過程では、構造物について、発明の構成を開示した文献が2件見つかったところ、出願人は、「建築物からなる」構造物であることに限定した。
2回目の拒絶理由通知で、「建築物に対して振動データを測定し、何らかの状態モデルに当てはめて、当該建築物の異常を判定することは、当業者にとって周知の技術的事項である」として2件の文献が例示され「上記周知の建築物から測定した振動データに基づいて異常の判別を行うように構成することに、格別の技術的困難性および阻害要因は認められない。」と判断された。
これに対し、出願人は、主引例である文献1,2と周知技術を示す文献6,7では、振動モードが大きく異なること等を主張して、これにより特許査定を得た。
構造物については、発明の構成が開示されており、これを「建築物からなる」というように、適用対象を変えただけで進歩性が出るというのは、やや甘いような気がする。適用の対象の違いによって構成に工夫があるなら話は別であるが、構成としては同じというなら進歩性はないというのが通常の考え方と思われる。
本件は、登録例ではあるが、今後、これと同じパターンで登録になるモデルケースとは言えない。
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