2022年4月26日火曜日

[米国]著作権侵害訴訟(メモ)

本日の研究会で知ったことのメモ。

・ 米国では、著作権侵害訴訟を提起するためには、著作権が登録されていることが必要

・セーフハーバー規定・・・特定の行為が特定の規則に違反しないとみなされることを指定する法令または規則の規定。

・Unicolors v. H&Mの最高裁判決(2022年2月24日)
 Unicolorsによる著作権の登録申請が正確でなかったことで登録が無効かという争点について、事実誤認だけでなく法律誤認があったという理由だけで登録が無効ということはないと判断。



2022年4月18日月曜日

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例1~5まとめ

 例1~例5の概要は以下のとおり。

発明概要

判断

1

ユーザが購入したい2つ以上の商品を選択すると、ユーザの現在位置に基づき、商品を購入するのに最適なルートを提示する発明

ユーザに2つの商品を選択させ、その2つの商品を購入する最適ルートを提供するというビジネス上のアイデアは技術的課題を設定する際には、満たすべき制約として与えられる。

その制約を満たすために技術的に何をしたか、という問題になる。進歩性なし。

2

貨物輸送のオファーとデマンドをユーザの現在位置に基づいてマッチングする発明

請求項の構成要件において、技術的な構成要素が主体となっていないため、ビジネス方法と技術的特徴が分離された。GPS端末を使った受注管理という全く違う先行技術を元に進歩性なし。

3

放送メディアを送信する際に、データ接続の最大レートで伝送を行うのではなく、ユーザが契約したデータレートで伝送するシステムの発明

最大レートより低いデータレートで送信するのは、顧客がその価格モデルに従ってデータレートのサービスレベルを選択することを可能にするという商業目的である。技術的課題を設定する際に、制約として与えられる。進歩性なし。

4

赤外線カメラの画像に基づいて、建物内の結露のリスクのある領域をユーザに示す発明

先行技術との相違点は、赤外線カメラを使ったこと、過去の平均温度・湿度を用いて結露温度を計算したこと。

相違点は、技術的効果に貢献する。技術的課題は、表面上の結露のリスクをより正確かつ信頼性の高い方法で判断する方法である。進歩性あり。

5

被処理物をコーティングする方法に関し、溶射コーティングプロセスのパラメータを自動調整する発明

先行技術との相違点は、ニューラルネットワークかニューロファジーコントローラか。

相違点に起因する効果がなく、代替解決策の提供にすぎない。進歩性なし。


上記の例から分かる注意点としては、次のようになる。

・相違点が、ビジネス上のアイデア、商業目的をアルゴリズム化したもの。
 →例1,例3 ビジネスアイデアは要求仕様として与えられる。進歩性なしとなり勝ち。
 →例2 書き方が悪いと、技術的側面として残るのは、コンピュータやGPSだけ。

・相違点が、技術的効果に貢献する。→例4 進歩性ある可能性(副引例との関係)

・相違点に起因する技術的効果なし。→例5 進歩性なし。寄せ集め。


2022年4月14日木曜日

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例5

 例5は、被処理物をコーティングする方法に関し、溶射コーティングプロセスのパラメータを自動調整する発明である。

「請求項1
溶射法を用いて被処理物をコーティングする方法であって、該方法は、以下を含むことを特徴とする、溶射法:
(a)スプレージェットを用いて、溶射によってワークピースに材料を塗布する;
(b)溶射ジェット中の粒子の特性を検出し、その特性を実測値として供給することにより、溶射プロセスをリアルタイムで監視する;
(c)実測値と目標値を比較する;実測値が目標値から乖離している場合,
(d)溶射コーティングプロセスのプロセスパラメータをニューラルネットワークに基づくコントローラによって自動的に調整し、前記コントローラは、ニューラルネットワークとファジー論理ルールとを組み合わせ、それによってニューロファジーコントローラの入力変数と出力変数の間に統計的関係をマッピングするニューロファジーコントローラである。 」

 この発明に最も近い文献D1は、「溶射ジェットを用いてワークピースに材料を塗布し、前記溶射ジェット中の粒子の特性の偏差を検出し、ニューラルネットワーク解析の結果に基づいてプロセスパラメータを自動的に調整することによる溶射プロセスの制御方法を開示している。」
 例5の発明とD1との違いは、D1ではニューラルネットワークを用いているのに対し、例5の発明では、ニューラルネットワークとファジー論理ルールとを組み合わせたニューロファジーコントローラを用いる点である。

 人工知能に関連する計算モデルやアルゴリズムは、それ自体、抽象的な数学的性質を持っているが、相違点にかかる特徴は、技術的目的に資する技術的効果の発生に寄与し、それによって発明の技術的性質に貢献するから、進歩性の評価において考慮される。これは、例4の場合と同じである。

 課題ー解決アプローチの客観的な技術的課題、および自明性の判断は、次のとおり。

「ステップ(iii)(c):客観的な技術的課題は、客観的に立証された事実に基づき、請求項の技術的特徴に直接的かつ因果的に関連する技術的効果から導き出されるものでなければならない。
 本件では、溶射プロセスへの具体的な適応に関する詳細な説明もなく、ニューラルネットワーク解析とファジーロジックの結果を組み合わせてパラメータを算出するという事実だけでは、プロセスパラメータの異なる調整以上の技術的効果を信頼性高く保証することはできない。特に、請求項1の特徴の組合せにより、コーティング特性または溶射方法の品質が向上することを認める証拠は見いだせない。このような証拠がない場合、客観的な技術的課題は、D1において既に解決されている溶射プロセスを制御するプロセスパラメータの調整という問題に対する代替的な解決策を提供することである。

「自明性:D1の教示から出発し、上記の目的技術的課題を課された制御工学の分野の当業者(G-VII、3)は、プロセスの制御パラメータを決定するための代替的解決策を探すであろう。
 第2の先行技術文献D2は、制御工学の技術分野において、ニューロ・ファジー制御器を提供するニューラルネットワークとファジー論理ルールの組み合わせを開示している。この先行技術から、本願の出願日において、ニューロファジーコントローラは、制御工学の分野でよく知られ、適用されていることが明らかになった。したがって、本解決は自明な代替案であると考えられ、請求項1の主題は進歩性がない。」

 相違点にかかるニューロファジーコントローラは公知技術であり、例5では、ニューラルネットワークに代えて、単にニューロファジーコントローラを使ったというだけであり、進歩性が認められないのは、至極当たり前に思われる。なぜなら、溶射コーティングプロセスのパラメータを自動調整にニューロファジーコントローラを用いたことによる技術的効果がなければ、公知技術の寄せ集めにすぎないので。
 
 ところで、この例における客観的な技術的課題を「代替的な解決策を提供すること」としているのは、進歩性なしという結論に結び付ける、うまい問題設定だと思った。
 例4では、「表面上の結露のリスクをより正確かつ信頼性の高い方法で判断する方法」という定式化を行っており、単に代替策ということではなく、正確かつ信頼性の高いというところまで技術的課題と設定しているため、この技術的課題の技術的解決を示唆する他の先行技術がなければ進歩性ありという結論になる。一方、例5では「代替的な解決策」を技術的課題としているため、ニューロファジーコントローラが知られていれば進歩性が否定されるという寸法である。
 公知技術を適用しただけで特段の効果が見えなければ、それは寄せ集めにすぎず進歩性なしという結論は普通だと思っていたので、そこまで分析的に考えたことはなかったが、客観的な技術的課題という考え方を介在させるとすれば、そういう課題(代替的な解決策の提供)を設定することになるのだろう。

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例4

  例4は、赤外線カメラの画像に基づいて、建物内の結露のリスクのある領域をユーザに示す発明である。例1~例3はいずれも進歩性のない事例であったが、この例は進歩性がある事例である。

「請求項1
建物内の表面について結露のリスクが高まっている領域を決定するコンピュータ実装方法であって、以下のステップを含む、コンピュータ実装方法:
(a)赤外線(IR)カメラを制御して、表面の温度分布の画像を撮影するステップ;
(b)過去24時間に渡って建物内で測定された空気温度および相対空気湿度の平均値を受け取るステップ;
(c)前記平均空気温度及び平均相対空気湿度に基づいて、前記表面に結露する危険性がある結露温度を計算するステップ;
(d)画像上の各点における温度を、前記算出された結露温度と比較するステップ;
(e)計算された結露温度より低い温度を有する画像ポイントを、表面上の結露のリスクが増大した領域として特定するステップ;
(f)ステップ(e)で特定された画像ポイントを特定の色で着色することによって画像を修正し、結露のリスクが高まっている領域をユーザに示すステップ。」

 ステップ(a)は明らかに技術的であるが、数学的なステップであるステップ(b)~(e)が技術的か否かが、最初に検討されている。

「したがって、アルゴリズムや数学的なステップ、および情報の提示に関するステップが、発明の文脈において、技術的効果の発生に寄与し、それによって発明の技術的性質に貢献するかどうかを評価する必要がある。
 上記のアルゴリズムおよび数学的ステップ(b)~(e)は、物理的特性の測定値(IR画像、測定された空気温度および時間経過による相対空気湿度)から、存在する現実の物体(表面)の物理的状態(結露)を予測するために使用されるので、技術的目的に役立つ技術的効果に貢献するものである。これは,表面上の結露のリスクに関する出力情報をどのように使用するかに関係なく適用される(G-II, 3.3,特に小項目 "技術的用途 "を参照されたい)。したがって、ステップ(b)~(e)は発明の技術的性質にも寄与する。」

 物理的な測定値から物理的状態を予測しているので、技術的効果に貢献し、技術的性質に寄与する。

ーーー
 例4の発明に最も近い先行技術は、次の文献D1である。
「文献D1には、表面に結露が生じる危険性を判断するために、表面を監視する方法が開示されている。結露のリスクは、表面上の1点についてIRパイロメータを介して得られた温度測定値と、実際の周囲空気温度および相対空気湿度に基づいて計算された結露温度との差に基づいて決定される。そして、その差の数値を、当該地点の結露の可能性を示す指標としてユーザーに提示する。」

 請求項1の主題とD1との相違点は、以下の通りである。
「(1)赤外線カメラが使用されている(表面の1点の温度しかとらえないD1の赤外線パイロメーターの代わりに);
(2)過去24時間に渡って建物内部で測定された空気温度と相対空気湿度の平均値を受信し;
(3)平均気温と平均相対湿度に基づいて結露温度を計算し、表面のIR画像上の各点の温度と比較する;
(4)計算された結露温度より低い温度を持つ画像点を、表面上の結露のリスクが高い領域として識別する;
(5)結露の危険性が高い箇所を色で表示する。

 以上のように、(1)~(4)の特徴は、クレーム対象の技術的性質に貢献するものであり、技術的課題の設定に際して考慮されるべきものである。これらの特徴は、(一点ではなく)すべての表面領域を考慮し、日中の温度変化を考慮する結果、結露の危険性についてより正確で信頼性の高い予測を行うという技術的効果をもたらす。」

 その一方で、(5)の特徴は、利用者の主観的選好に依存するので、技術的効果をもたらさないとされた。

 上記の分析から、課題-解決アプローチによって客観的な技術的課題は、「表面上の結露のリスクをより正確かつ信頼性の高い方法で判断する方法」と定式化された。

ーーー
「自明性 :表面上の温度測定値を得るために赤外線カメラを使用することは、発明行為を行うことなく、サーモグラフィの分野における通常の技術開発であると考えることができる。IR カメラは、本件の有効な出願日において周知であった。IRカメラを使用することは、当業者が表面の温度分布を得るために、IRパイロメータを使用して監視対象表面の複数の点の温度を測定することに代わる、簡単な方法である。
 しかしながら、D1は、表面上の温度分布を考慮し(単一点での温度とは対照的に)、空気温度の平均値を計算し、過去24時間にわたって建物内で測定された相対空気湿度を考慮に入れることを示唆していない。また、結露のリスクを予測するために、時間の経過とともに建物内部で現実的に発生する可能性のある異なる条件を考慮することを示唆するものでもない。
 特徴(1)〜(4)によって定義される客観的な技術的課題の技術的解決を示唆する他の先行技術がないと仮定すると、請求項1の主題は進歩性を有する。」

 上に下線を引いたところは、例1と対比して非常に異なる部分である。例1を振り返ってみると、
(1)ユーザは、(単一商品のみではなく)2つ以上の商品を選択して購入することができる。
(2)2つ以上の製品を購入するための「最適なショッピングツアー」がユーザーに提供される。
という2つの相違点は、客観的な技術的課題を把握する際に、満たすべき制約として組み込まれてしまっていた。
 これに対し、例4では、特徴(1)〜(4)は、客観的な技術的課題として評価されている。
 この違いは、例4においては、数学的なステップであるステップ(b)~(e)が「技術的目的に役立つ技術的効果に貢献するものである。」ためと考えられる。例1では、相違点(1)(2)は、「技術的な目的はなく、これらの相違点から技術的な効果を見出すことはできない。」と判断されていた。
 つまり、相違点にかかるアルゴリズムが「技術的目的に役立つ技術的効果に貢献するか」という点がポイントだと思う。

 この点について、ガイドラインの備考も次のように記載している。

「備考 :この例は、G-VII,5.4第2段落で扱った状況を示している。すなわち、単独では非技術的であるが、請求項に係る発明の文脈において、技術的目的に資する技術的効果の発生に貢献する特徴(アルゴリズム/数学的ステップである特徴(b)〜(e))である。当該特徴は、発明の技術的性質に貢献するものであるため、進歩性の存在を裏付けることができる。」

2022年4月11日月曜日

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例3

 例3は、放送メディアを送信する際に、データ接続の最大レートで伝送を行うのではなく、ユーザが契約したデータレートで伝送するシステムの発明である。

「請求項1 
 データ接続を介して遠隔端末に放送メディアチャンネルを送信するためのシステムであって、前記システムは以下を含む:
(a)遠隔端末の識別子と、前記遠隔端末へのデータ接続の利用可能なデータレートの表示とを記憶する手段であって、前記利用可能なデータレートは、前記遠隔端末へのデータ接続の最大データレートよりも低いことを特徴とする記憶手段;
(b)前記データ接続の利用可能なデータレートの表示に基づいて、データを送信するレートを決定する手段;
(c)前記決定されたレートで前記遠隔端末にデータを送信する手段。」

 最も近い先行文献D1は、加入者のセットトップボックスにxDSL接続でビデオを放送するシステムを開示しており、このシステムは、コンピュータ用に記憶された最大データ速度で加入者のコンピュータにビデオを送信する。

 容易に分かるように、相違点は次のとおりである。
「ステップ(iii):請求項1記載の主題とD1との相違点は、以下の通りである:
(1) 遠隔端末へのデータ接続の利用可能なデータレートの表示を記憶し、前記利用可能なデータレートは、遠隔端末へのデータ接続の最大データレートより低いこと;
(2) 前記利用可能データレートを使用して、前記遠隔端末にデータを送信するレートを決定する(D1のように前記遠隔端末に対して記憶された最大データレートでデータを送信するのではない)。」

 課題ー解決アプローチでは、客観的な技術的課題に基づき、上記の相違点は次のように定式化される。

「遠隔端末へのデータ接続のために最大データレートより低い「利用可能なデータレート」を使用することによって果たされる目的は、請求項からは明らかではない。したがって、明細書の関連する開示内容が考慮される。本明細書では、顧客が複数のサービスレベルから選択することを可能にする価格モデルが提供され、各サービスレベルは、異なる価格を有する利用可能なデータレートのオプションに対応すると説明されている。ユーザは、支払額を少なくするために、接続可能な最大データレートよりも低い利用可能データレートを選択することができる。したがって、遠隔端末への接続に最大データレートより低い利用可能なデータレートを使用することは、顧客がその価格モデルに従ってデータレートのサービスレベルを選択することを可能にするという目的に対応している。これは技術的な目的ではなく、財政的、管理的又は商業的な性質の目的であるため、第52条(2)(c)のビジネスを行うためのスキーム、規則及び方法の除外に該当する。 したがって、満たすべき制約として、客観的な技術的課題の定式化に含まれる可能性がある。

 利用可能なデータ速度を記憶し、データ送信速度を決定するためにそれを使用する機能は、この非技術的な目的を実施するという技術的効果を有する。」

 データ伝送に際して、最大データレートではなく、敢えて低いデータレートでの伝送を可能にするのは面白い考え方と思うが、これは商業的な目的であるため、このような考え方は評価の特許性の評価対象とはならない。評価の対象となるのは、次の事項である。

「ステップ(iii)(c):したがって、客観的な技術的課題は、顧客がデータレートのサービスレベルを選択することを可能にする価格モデルをD1のシステムにどのように実装するかということに定式化される。

自明性:この価格設定モデルに従ってデータ・レート・サービス・レベルの選択を実施するという課題を考えると、加入者が購入したデータ・レート(すなわち請求項1の「利用可能データ・レート」)、これは加入者のコンピュータ(すなわち請求項1の「遠隔端末」)へのデータ接続の最大データ・レートより低いか等しくしかあり得ない、を各加入者について記憶し、加入者にデータを送信するための速度をシステムで決定するために使用することは、当業者に明らかであるだろう。したがって、法52条(2)及び56条の意味における発明的進歩は含まれない。」

 上記のように、サービスレベルを選択可能な価格モデルの技術的な実装部分のみが相違点として評価される。
 サービスレベルを選択可能にしようとするならば(=与えられた制約を満たすためには)、最大データ・レートより低くするしかあり得ない、という理由で、文献D1から自明であると判断されてしまった。
 
 請求項と文献D1との相違点は、最大レートでデータ伝送するか否かである。
 日本の感覚では、最大レートでデータ伝送する文献D1から、低いレートでデータ伝送する構成とするのが容易かどうかということが問題になるので、それなりに有望な感じがする(少なくとも副引例は必須であろう)。しかし、課題ー解決アプローチにおける定式化では、データレートのサービスレベルを選択可能にするためには(商業目的を達成するためには)当業者ならどうしたか? という制約まで(日本流にいえば動機付けと言っても良いと思う)が定式化されてしまうので、簡単に自明という結論になってしまう。
 





2022年4月8日金曜日

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例2

 第2の例は、貨物輸送のオファーとデマンドをユーザの現在位置に基づいてマッチングするソフトウェア関連発明である。

「 請求項1 
貨物輸送の分野においてオファーと要求を仲介するためのコンピュータで実装された方法であって、以下のステップを含む、方法:
(a)位置及び時間データを含む、ユーザーからの輸送オファー/デマンドを受信するステップ;
(b)ユーザが装備しているGPS端末からユーザの現在位置情報を受信するステップ;
(c)新たなオファー/デマンド要求の受信後、新たな要求に応じることができるまだ満たされていない以前のオファー/デマンドがあるかどうかを確認するステップ;
(d)存在する場合、両ユーザの現在位置が最も近いものを選択するステップと
(e)そうでない場合、新しい要求を保存する。」

 課題ー解決アプローチのステップ(ⅰ)は、発明の技術的性質に貢献する特徴を発明の文脈で達成される技術的効果に基づいて決定することであった。
 例2においては、発明の技術的性質に貢献する特徴について次のように判断される。

「ステップ(i):請求項の方法の根底には、次のビジネス方法がある。
 貨物輸送の分野におけるオファーとデマンドを仲介する方法であって、以下を含む:
 位置と時間のデータを含む、ユーザーからの輸送のオファー/デマンドを受け取ること;
 利用者の現在位置に関する情報を受信するステップと 
 新しいオファー/デマンドの受信後、新しい要求に応じることができるまだ満たされていない以前のオファー/デマンドがあるかどうかを確認する;
 もしある場合、両ユーザーの現在位置が最も近いものを選択する;
 それ以外の場合は、新しいリクエストを保存する。

 このようなビジネス方法は、それ自体非技術的であり、法52条(2)(c)及び(3)の下で除外される。オファーとデマンドを仲介することは、典型的なビジネス活動である。利用者の地理的位置を利用することは、輸送仲介業者が、非技術的でビジネス上の考慮のみに基づくビジネス方法の一部として指定することができる種類の基準である。このビジネス方法は、発明の文脈ではいかなる技術的目的も果たさず、したがって、その技術的性質に貢献するものでもない。
 したがって、このビジネス方法の技術的実施に関連する特徴のみを、本発明の技術的性質に貢献する特徴として特定することができる。
 ビジネス方法ステップは、コンピュータによって実行される。
 GPS 端末から現在位置情報を受信する。

 上記のとおり、例2の発明の技術的特徴は、下線を引いた2点だけであり、ビジネス方法自体はすべて捨象されてしまった。
 その結果、サーバーコンピュータがGPS端末から位置情報を受信する受注管理方法を開示している文献D1に基づいて、「ビジネス方法ステップを実行するためにD1の方法を適応させることは、簡単であり、ルーチンのプログラミングのみを必要とする。したがって、法52条(1)及び56条にいう進歩性はない。」と一蹴されてしまうことになる。
 
 例1の携帯端末でのショッピングを容易にする方法と例2の貨物輸送のマッチングを行う方法は、いずれもソフトウェア関連発明であるが、例1はサーバーコンピュータと携帯端末からなる分散システムと判断されたのに対し、例2は本質的にビジネス方法というように判断が分かれた。
 これは、例2においては、各ステップの主体が特定されていないことが原因ではないかと思われる。ガイドラインの備考においても次のように述べている。

「備考:この例では、ステップ(i)の最初の分析から、クレームされた方法の根底には、オファーとデマンドを仲介する方法があり、それがビジネス方法であることは明らかであった。ビジネス方法を定義する特徴は、そのコンピュータによる実装の技術的特徴から容易に分離可能であった。

 日本では、各ステップの主体が特定されていないと、発明が明確でないとされ、記載要件違反となるが、欧州では進歩性の判断において技術的特徴から分離されて、簡単に進歩性を否定されてしまうことになる。

2022年4月7日木曜日

[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例1

 第1の例は、ユーザが購入したい2つ以上の商品を選択すると、ユーザの現在位置に基づき、商品を購入するのに最適なルートを提示するソフトウェア関連発明である。

「請求項1 
携帯端末でのショッピングを容易にする方法であって 
(a)ユーザが購入したい商品を2つ以上選択するステップと
(b)前記携帯端末は、前記選択された商品データおよび前記端末の位置情報をサーバに送信し、
(c)サーバーは、業者のデータベースにアクセスし、選択された製品の少なくとも1つを提供する業者を特定し、
(d)サーバーは、端末の位置と特定された業者とに基づいて、以前のリクエストに対して決定された最適なショッピングツアーが格納されているキャッシュメモリにアクセスして、選択された商品を購入するための最適なショッピングツアーを決定し、
(e)前記サーバは、前記最適なショッピングツアーを前記携帯端末に送信して表示させる。」

 この発明に最も近い先行技術は、1つの商品を選択するとその商品を販売する業者の情報を提供する方法である。
「ユーザーが1つの商品を選択し、サーバーがデータベースからユーザーに最も近い選択された商品を販売している業者を決定し、この情報を携帯端末に送信する携帯端末でのショッピングを容易にする方法を開示している文献D1が最も近い先行技術として選択される。」

 この先行技術D1との相違点は、課題ー解決アプローチによって次のように特定される。
「ステップ(iii):請求項1の主題とD1との相違点は、以下の通りである。
(1)ユーザは、(単一商品のみではなく)2つ以上の商品を選択して購入することができる。
(2)2つ以上の製品を購入するための「最適なショッピングツアー」がユーザーに提供される。
(3)最適なショッピングツアーは、サーバーが、過去のリクエストに対して決定された最適なショッピングツアーが格納されているキャッシュメモリにアクセスして決定する。

 相違点(1)及び(2)は、その商品を売っているお店の順番を決めるという、ビジネスの基本的な考え方の変更である。技術的な目的はなく、これらの相違点から技術的な効果を見出すことはできない。したがって、これらの機能は D1 に対して技術的な貢献を構成しない。
 一方、相違点(3)は、相違点(1)及び(2)の技術的実現に関連するものであり、キャッシュメモリに格納された過去の要求にアクセスすることにより、最適な買い物ツアーを迅速に決定できるという技術的効果を有するので、技術的貢献をするものである。
 ステップ(iii)(c):客観的な技術課題は、当業者が技術分野の専門家としての立場から定式化するものである(G-VII,3)。このような者は、ビジネスに関する専門知識を有しているとは認められない。本件では、当業者は、解決すべき技術的課題の定式化の一環として、(要求仕様書という現実的な状況で)ビジネス関連の特徴(1)、(2)に関する知識を得る情報技術の専門家と定義することができる。このように、満たすべき制約として与えられる相違点 (1)及び (2) によって定義される非技術的なビジネス概念を、技術的に効率よく実現するために、D1 の方法をどのように変更するかということが、客観的な技術課題として定式化される。

 この例では、ユーザに2つの商品を選択させ、その2つの商品を購入する最適ルートを提供するというビジネス上のアイデアは、特許性の議論においては評価の対象外である。2つの商品を購入する最適ルートを提供するという仕様がビジネス部門から与えられたときに、文献D1の技術を変更して実現することが自明であったかどうかが問題となる。その結果、次のように判断されると説明されている。

「第2の文書D2は、訪問すべき場所のセットをリストアップして旅行計画を決定する旅行計画システムを開示し、この技術的問題に対処している:D2のシステムは、この目的のために、以前のクエリの結果を格納するキャッシュ・メモリにアクセスする。したがって、当業者は、D2の教示を考慮し、最適な買い物ツアーの決定の技術的に効率的な実施、すなわち相違点(3)を提供するように、D1のサーバをD2で提案されているようにキャッシュメモリにアクセスし使用するよう適合させたと考えられる。」

 日本の審査では、その2つの商品を購入する最適ルートを提供するというアイデアが新しければ、例えばD2の旅行計画をヒントにショッピングツアーに基づいて対象の発明に想到し得たかどうか、が進歩性判断の材料になるであろう。これは、実務上の大きな違いである。

2022年4月6日水曜日

[EP] 技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)

EPの審査ガイドラインは、技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム(以下「混合型発明」という)の進歩性の考え方について規定している。
PartG-Patentability/ Chapter VII-Inventive step/ 5.Problem-solution approach/ 5.4 Claims comprising technical and non-technical features 
(https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/guidelines/e/g_vii_5_4.htm)

※翻訳は筆者による
「コンピュータで実装された発明によく見られるように、クレーム中に技術的特徴と非技術的特徴が混在することは適法である。非技術的特徴がクレームの主題の主要な部分を形成することさえある。しかし、法52条1項、2項、3項に照らすと、法56条の進歩性が存在するために、技術的課題に対する非自明な技術的解決策を必要とする(T 641/00, T 1784/06)。

 このような混合型発明の進歩性を評価する際には、発明の技術的性質に貢献するすべての特徴が考慮される。これらの特徴には、単独では非技術的であるが、発明の文脈上、技術的目的に資する技術的効果の発生に寄与し、それによって発明の技術的特徴に貢献する特徴も含まれる。しかし、発明の技術的性質に貢献しない特徴は、進歩性の存在を裏付けることはできない(「COMVIKアプローチ」、T 641/00, G 1/19) 。このような状況は、例えば、特徴が非技術的な課題の解決にのみ貢献する場合、例えば、特許性から除外される分野の課題の解決にのみ貢献する場合に生じ得る(G-II,3及びサブセクションを参照)。

 問題解決アプローチは、発明の技術的性質に寄与しない特徴に基づいて進歩性が認められることがないように、また、寄与するすべての特徴が適切に識別され、評価において考慮されるように、混合型発明に対して適用される。このため、クレームが非技術分野で達成されるべき目的に言及している場合、この目的は、解決すべき技術的課題の枠組みの一部として、特に満たされなければならない制約として、合法的に客観的な技術的課題の定式化に現れることができる(T 641/00;下記ステップ(iii)(c)及び G-VII, 5.4.1 を参照)。

 以下のステップは、COMVIKアプローチによる混合型発明への問題解決アプローチの適用を概説する。
(i)発明の技術的性質に貢献する特徴は、発明の文脈で達成される技術的効果に基づいて決定される(G-II,3.1~3.7参照)。
(ii)ステップ(i)で特定した発明の技術的性質に貢献する特徴に着目して、最も近い先行技術として適切な出発点を選択する(G-VII, 5.1参照)。
(iii)最も近い先行技術との相違点を特定する。これらの相違点から、技術的貢献をする特徴としない特徴を識別するために、請求項全体との関係において、これらの相違点の技術的効果が判断される。
 (a)相違点がない場合(非技術的な相違点もない場合)、法54条に基づく拒絶理由が提起される。
 (b)相違点に技術的な貢献がない場合、法 56条に基づく拒絶理由が提起される。拒絶理由は、先行技術に対する技術的貢献がない場合、請求項の主題は進歩性を有しない、というものである。
 (c)相違点に技術的貢献をする特徴が含まれる場合は、次のようになる。
 客観的な技術的課題は、これらの特徴によって達成される技術的効果に基づいて定式化される。さらに、相違点が技術的貢献のない特徴を含む場合、これらの特徴又は発明によって達成された非技術的効果は、当業者に「与えられた」ものの一部として、特に満たさなければならない制約として、客観的技術課題の定式化に用いることができる(G-VII, 5.4.1 参照)。
 客観的技術的課題に対するクレームされた技術的解決策が当業者にとって自明である場合、法56条の下での拒絶理由が提起される。」


 混合型発明に対する基本的な考え方は、「技術的性質に貢献しない特徴は、進歩性の存在を裏付けることができない」であり、進歩性の審査においては技術的側面だけが評価の対象となる。
 課題ー解決アプローチにおいて、最も近い先行技術との相違点に技術的貢献のない特徴を含む場合、その特徴と非技術的効果は、当業者に与えられる「満たさなければならない制約」として、客観的な技術的課題に組み込まれる。進歩性を判断するに際しては、要求仕様が「与えられた」当業者が、技術的課題を技術的に解決することが自明かどうかが判断の基準となる。
 したがって、非技術的な部分がいかに画期的でも、その画期的な部分は、客観的技術的課題として与えられてしまうため、その部分は何ら評価されない。このことは、ガイドラインが列挙している事例を見るといっそう理解できる(つづく)。



2022年4月1日金曜日

[裁判例]通信回線を用いた情報供給システム事件(知財高裁令和3年10月27日)

 「通信回線を用いた情報供給システム」という特許に基づく特許侵害訴訟の控訴事件である。
 原審では、数ある被告システムの態様のうち、IPカメラを使用した被告システムは侵害であるとされたが、その他は非侵害とされた。控訴審では、IPカメラに加えて、スマートロックを使用した被告システムも侵害であるとされた。

 特許は、自宅等の特定領域の様子を遠隔監視するシステムに関するものである。従来の監視システムにおいては、通信回線を介して第三者が監視端末にアクセスして監視情報を入手することができてしまうと、プライバシーが保護されなくなるという課題があったので、この課題に鑑みてなされたものである。

 特許は2件あるが(ファミリーなので明細書は共通)、そのうち1つの発明を示す。なお、ポイントとなる要件に下線を付した。

【請求項1】
 インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置されている管理コンピュータに於ける通信回線を用いた情報供給システムであって,
 前記管理コンピュータ側には,監視目的に応じて適宜選択される監視手段を有する監視端末側に対して付与されたIPアドレスを含む監視端末情報が,利用者IDに対応付けられて登録されている利用者データベースを備え,
 前記監視端末側は前記管理コンピュータ側と前記通信回線網を介して接続可能とされており,
 前記管理コンピュータ側は,
 インターネットや電話網からなる通信回線網を利用してアクセスしてくる利用者の電話番号,ID番号,アドレスデータ,パスワード,さらには暗号などの認証データの内少なくと も一つからなる利用者IDである特定情報を入手する手段と,
 この入手した特定情報が,前記利用者データベースに予め登録された監視端末情報に対応するか否かの検索を行う手段と,
 前記特定情報に対応する監視端末情報が存在する場合,インターネットや電話網からなる通信回線網を利用して,この抽出された監視端末情報に基づいて監視端末側の制御部に働きかけていく手段と,
 インターネットや電話網からなる通信回線網を経由して,前記監視端末側によって得られた情報を入手する手段と,
 この監視端末側から入手した情報を,インターネットや電話網からなる通信回線網を用いて,前記特定情報を送信してアクセスした利用者に供給する手段と,
 特定できる監視端末側から前記管理コンピュータ側のグローバルIPアドレスに対して接続する接続処理を受け付け,前記利用者データベースに登録されている前記監視端末情報であるIPアドレスを変更処理する手段と,
 を備えていることを特徴とする通信回線を用いた情報供給システム。

 請求項は長いが、要するに、
・監視端末情報と利用者IDが対応付けられていて、アクセスしてきた利用者を特定し、特定された利用者に対応する監視端末にアクセスして監視端末で入手した情報を供給する
・(監視端末との接続が切れたとき等)監視端末からの再接続を受けてIPアドレスを更新する
 ということを言ってるだけと思われる。

[原審の判断]
 これらの発明の課題等を含む本件明細書の記載からすると,「働きかけていく手段」は,監視端末により取得された監視のための情報の入手及びその情報の利用者への供給を前提とした働きかけを意味するものであると解するのが相当である。 
 被告システムでは,スマートロックを使用すると現在の施錠/解錠の状態が画面に表示されて利用者が施錠/解錠の遠隔操作をすることができ,スマートライトを使用すると現在の照明の状態(明るさ,消費電力)が画面に表示されて利用者が照明のON/OFFや,その明るさの調整についての遠隔操作をすることができる(構成1(1)dⅴの⒞,⒟,2dⅴの⒞,⒟)。しかし,スマートロックやスマートライトにおける利用者の要求(働きかけ)は,施錠又はライトのON又はOFFという遠隔操作を目的とするものであって,そのような利用者の作為は監視端末(側)によって得られた監視のための情報を入手することを目的としていないから,本件各発明の「働きかけていく手段」に対応するとはいえない。

[控訴審の判断]
 以上の本件発明1⑴の特許請求の範囲の請求項1及び本件発明2の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件明細書の記載によれば,本件発明1⑴及び2の「監視端末(側)の制御部に働きかけ」とは,管理コンピュータから監視端末側の制御部に制御信号を送信することを意味し,その制御信号に限定はないものと解される。 
 そして,前記⑹のとおり,スマートロックは,利用者によって,外出先から解錠,施錠を可能とするものであるから,その解錠,施錠の操作に当たっては,被告システムの管理コンピュータからスマートロックの制御部に解錠,施錠に関する制御信号が送信されているものと認められる。 
 したがって,スマートロックを使用した被告システムは,構成要件1⑴Dⅲ,1⑵A,2Dⅲ(「監視端末(側)の制御部に働きかけ(ていく手段)」)を備えていることが認められる。 
・・・
(ア) 本件各発明における「監視端末(側)によって得られた情報」とは,監視端末側がその監視手段によって得られた監視対象に関する情報(「監視情報」)であることは,前記⑸のとおりである。そして,スマートロックを使用した被告システムにおける監視対象は鍵の開閉であり,鍵の開閉に関する情報は,「監視端末(側)によって得られた情報」に該当するものと認められる。また,前記⑹のとおり,スマートロックの利用者は,外出先からスマートフォンやタブレット端末を用いて玄関の鍵の施錠状態を確認することができることからすれば,スマートロックを使用した被告システムにおいては,スマートロックによって得られた鍵の開閉に関する情報をサーバー⑥が入手し,利用者に供給しているものと認められる。 
 以上によれば,スマートロックを使用した被告システムは,構成要件1⑴Dⅳ,ⅴ,1⑵A,2Dⅳ,ⅴ(「監視端末(側)によって得られた情報を入手する手段と…監視端末(側)から入手した情報を…利用者に供給する手段」)を備えていることが認められる。
(イ) これに対し,一審被告は,利用者が携帯端末から,スマートロックの開閉の遠隔操作をしたときに,携帯端末に表示される当該操作の結果の情報は,自らの操作に従った結果になったことを確認するための情報であり,監視情報ではないというが,前記(ア)のとおり,鍵の開閉に関する情報は監視情報であるといえるから,一審被告の上記主張は,理由がない。


 原審では、「働きかけていく手段」は、監視のための情報の入手及びその情報の利用者への供給を前提としたものであると解釈したため、鍵の開閉に関する情報を送信することは働きかけていく手段に該当しないと判断された。
 控訴審では、「監視端末(側)の制御部に働きかけ」とは,管理コンピュータから監視端末側の制御部に制御信号を送信すること以上の制限はないと解釈したため、原審とは異なる判断となった。
 



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