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2021年7月7日水曜日

[AI関連発明]写り込み除去エンジン(特許6843342)

 例えば、自動車等の被写体を撮影したときに、ボディ等に表面に周囲の風景等が写り込むことがあるが、この発明は、写り込みを除去する処理を行うエンジンを生成する方法である。

【請求項1】
  対象物に周囲の写り込みが認められる第1画像の画像データである第1画像データと、前記第1画像に対応する、前記対象物への写り込みが軽減された第2画像の第2画像データとを取得する取得ステップと、
  前記第1画像データ及び前記第2画像データを用いてニューラルネットワークの学習を行うことで、入力画像データの画像から写り込みが除去された画像の画像データを出力する写り込み除去エンジンを生成する生成ステップと、
 をコンピュータに実行させる、写り込み除去エンジン生成方法。

 この発明の構成は極めてシンプルで、写り込みのないが画像と写り込みのある画像を教師データとした学習によって、写り込み除去エンジンを生成するというだけである。
 個人的な見解としては、写り込みを除去するためのモデルを生成しようとすれば、普通こういう構成になるように思う。


2021年7月6日火曜日

[AI関連発明] 文字処理システム(特許6845911)

  この発明は、基準文字の画像と、基準文字とは異なる字形を持つ画像とを比較する文字処理システムの発明である。異なる字形を持つ画像の中から、特徴的な字形を有する「特異文字」を容易に判定できるようにユーザに対して相違情報を出力するシステムである。

【請求項1】
  文字処理システムであって、
  予め定められた字形を持つ基準文字の画像と、互いに異なる字形を持つ複数の文字の画像とを用いた機械学習によって生成され、入力される文字の画像から前記予め定められた字形に適応した文字の画像を生成する学習済みモデルを格納する格納部と、
  前記学習済みモデルを用いて、処理対象の文字の画像から、前記予め定められた字形に適応させた前記処理対象の文字の画像を生成する文字画像生成部と、
  前記文字画像生成部が生成した画像と前記基準文字の画像との比較結果に基づいて、前記処理対象の文字と前記基準文字との相違を示す情報を出力する相違情報出力部と
を備える文字処理システム。


 文字画像生成部の要件までは、要するに基準文字の画像と異なる字形の画像を教師データとしてモデルを作成しておき、学習済みモデルを用いて、処理対象の文字(620-1)を基準文字(640-1)に適応させた文字(630-1)に変換することを規定している。ここまでは、処理対象文字を基準文字のフォントに近づけると言っているだけであり、それほど特徴的ではない。
 本件特許は、生成した画像と基準画像とを比較してその相違情報(650-1)を出力する構成を備えており、相違情報を出力することで、処理対象の文字が特異文字かどうかを容易に判断することができるようにしている。
 
 この発明は、機械学習の処理の部分はAIの単なる適用にすぎないが、その結果を使って相違情報を出力するシステムとすることに特徴があると考えられる。


2021年4月10日土曜日

[AI関連発明]情報処理装置(特許6722929)

 (登録例)
 発明は、帳票の画像からテキストデータを読み取る学習モデルを生成するためのデータセットを生成し、当該データセットを用いて機械学習を行う装置に関する。

【請求項1】
  文字情報を含む画像データから前記文字情報を読み取り、読み取った前記文字情報の前記画像データにおける位置について推定するための学習モデルに関する機械学習を行う情報処理装置であって、
  前記画像データを取得する画像データ取得部と、
  前記画像データに含まれる前記文字情報の位置を識別し、読取項目として認識する読取項目認識部と、
  読取項目における前記文字情報の文字認識を行い、テキストデータを生成するテキストデータ生成部と、
  前記テキストデータと、あらかじめ記憶されている前記画像データに含まれる前記文字情報を示す正解テキストデータとを読取項目ごとに比較し、一致しているか否かの判定を行い、一致していると判定された前記テキストデータを前記画像データ単位で抽出する正解データ抽出部と、
  抽出された前記テキストデータと、抽出された前記テキストデータの基になる前記画像データにおける読取項目の位置とに基づいて機械学習を行い、前記学習モデルの生成または更新を行う学習部と、を備え、
  前記正解データ抽出部は、前記テキストデータと前記正解テキストデータとを比較して前記テキストデータの合致度を算出し、算出した合致度が所定の閾値以上の場合、前記テキストデータと前記正解テキストデータとが一致していると判定する、情報処理装置。

 発明のポイントは、画像データをOCRで読み取り、その読取りの精度が高かった正解データのセット(画像データとテキストデータ)のみを学習に用いる点である。
 出願人は、意見書において、引用文献1は、「OCR処理に成功した場合、失敗した場合のいずれも機械学習を行うことで、文書帳票の書式の統計的な情報を反映させ、過学習を防止するものです。」と述べ、「一致している帳票のテキストデータのみを機械学習の対象とするために抽出する構成を付加することは、その目的に反するものであり、阻害要因を有します。」と主張した。
 
 補正に関していうと、画像データ単位で正解データを抽出するという構成を加えた。引用文献1に記載の画像処理装置は、「項目単位で一致/不一致の判定を行い、一致していない場合には、確認画面をモニタに出力し、作業者の入力により確認を行う構成」であることから、画像単位では正解データを抽出しないということを言いたいようである。
 
 本件は、発明の目的の違いに起因する構成の違いを請求項に反映させることにより、特許査定を得た例と言える。
 

2021年4月9日金曜日

[AI関連発明]画像処理装置(特許6696095)

 (登録例)
【請求項1】(出願当初)  ニューラルネットワークにより入力画像を処理し、前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、前記入力画像における部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出する算出部を備える画像処理装置。

 この発明は、予め学習済みのニューラルネットワークを用いて、部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を求め、求めたホワイトバランス調整値を使ってホワイトバランス調整を行う画像処理装置である。
 出願当初の請求項は、上記のように、ニューラルネットワークを使って部分領域毎のホワイトバランス調整値を求めるというだけしか規定していなかった。これに対して、進歩性なしの拒絶理由通知が出された(明確性違反も出ているが割愛)。
 引用文献1には、撮像装置で得られた画像を子画面に分割し、子画面ごとの色温度のヒストグラムから、子画面をグループ分けした各グループのホワイトバランス調整値を求めることが記載されている。他方、引用文献2には、予め学習させたニューラルネットワークに撮影画像を入力し、光源種を出力することが記載されている。引用文献1に係る発明に引用文献2に記載されたニューラルネットワークの技術を適用することで、本願発明に容易に想到し得るとされた。
 このように、ニューラルネットワークで処理するか否かという点だけが相違点の場合には、同一技術分野でニューラルネットワークが使われていることを示されて、組み合わせによって進歩性を否定される。
 
 本件は、請求項1に、進歩性の拒絶理由が発見されなかった請求項2の特徴を加えることで、特許査定を得ている。
 
【請求項1】(特許クレーム)
  ニューラルネットワークにより入力画像を処理し、前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、前記入力画像における部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出する算出部を備え
  前記算出部は、前記ニューラルネットワークにより前記入力画像を処理することによって前記入力画像に含まれる複数の画素のそれぞれに対応する複数のフィルタを生成し、前記入力画像に前記複数のフィルタを適用して得られた画像と前記入力画像とに基づいて、前記入力画像における前記部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出し、
  前記ニューラルネットワークは、
    前記入力画像を入力とし、前記複数のフィルタのフィルタ係数を出力し、
    既知の照明光下で撮像されることによって得られた画像と、前記既知の照明光下で撮像されることによって得られた画像に前記既知の照明光に基づくホワイトバランス補正を施した画像とを用いた機械学習により構築されている画像処理装置。

 

2021年4月3日土曜日

[AI関連発明]デプス画像にラベルを付与するプログラム(特許6719168)

 (登録例27)
 教師データを作成するプログラムに関する発明である。教師データに対するラベルの付与を人手で行うことは大変である。本発明は、3Dモデルに予めラベルを付与しておき、3Dモデルを仮想カメラで撮影してデプス画像を生成し、生成したデプス画像にラベルを付与するというものである。

【請求項1】
  正弦波の位相のずれを用いたTOF(Time Of Flight)型の実用デプスカメラによって撮影されたデプス(depth)画像にラベルを付与(Annotation)する機械学習エンジンにおける教師データを生成するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
  3D(three-Dimensional)モデルに、ラベルが予め付与されており、
  3DCG(3D Computer Graphics)ソフトウェアを用いて、3次元空間上に、3Dモデルと、当該3Dモデルを撮影する仮想カメラとを配置する仮想配置手段と、
  1視点の仮想カメラから、当該3Dモデルを異なるタイミングで撮影した複数の仮想画像を生成するレンダリング手段と、
  生成された複数の仮想画像から、正弦波の位相のずれに基づいて仮想カメラからのデプス画像を作成するデプス画像作成手段と、
  作成されたデプス画像に、当該3Dモデルのラベルを付与するアノテーション手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
  視差による三角測量を用いたステレオ型の実用デプスカメラによって撮影されたデプス画像にラベルを付与する機械学習エンジンにおける教師データを生成するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
  3Dモデルに、ラベルが予め付与されており、
  3DCGソフトウェアを用いて、3次元空間上に、3Dモデルと、当該3Dモデルを撮
影する仮想カメラとを配置する仮想配置手段と、
  2視点の仮想カメラそれぞれから、当該3Dモデルを撮影した複数の仮想画像を生成するレンダリング手段と、
  生成された複数の仮想画像から、ステレオ視差原理に基づいて仮想カメラからデプス画像を作成するデプス画像作成手段と、
  作成されたデプス画像に、当該3Dモデルのラベルを付与するアノテーション手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

 審査の過程では、出願当初の請求項1等に対して引用文献1が示された。引用文献1には、「仮想カメラ24から物体を見た様子を表す、深さ情報に関連付けられた二次元画像28が学習データとして用いられてもよい。」との記載があり、単に、仮想カメラでデプス画像を撮影し、教師データを生成するというだけでは、進歩性がないと判断された。

 出願人は拒絶理由の発見されていない請求項8,9に限定して特許を取得した。請求項1では、正弦波の位置ずれを用いたカメラで異なるタイミングで撮影したデプス画像を生成すること、請求項2では2視点カメラで撮影した仮想画像のステレオ視差原理を用いてデプス画像を生成すること、が具体的に規定された。
 本件は、教師データの具体的な生成方法を特定することで、特許査定を得た例である。

 

2021年3月31日水曜日

[AI関連発明]ノッキング判定装置(特許6651040)

 (登録例26)

 内燃機関のノッキング音の音圧を推定する装置である。出願当初の請求項は次のとおりであった。

【請求項1】(出願当初)  内燃機関で発生するノッキング音以外の雑音を除去し、前記雑音が除去された内燃機関の音圧を推定する推定装置であって、  ニューラルネットワークにより、前記雑音を除去し、かつ、前記ノッキング音を抽出するマスクを用いて、前記雑音が含まれる内燃機関の音圧から前記雑音が除去された内燃機関の音圧を推定する第2推定部、 を備えることを特徴とする推定装置。

 これに対し概略次のような拒絶理由が通知された。
 すなわち、引用文献1に、閾値を用いて内燃機関の音圧を推定する装置が記載され、雑音を除去するマスクをニューラルネットワークにより構成することは従来周知の技術であるから、進歩性を有しない。

【請求項1】(特許クレーム)   内燃機関で発生するノッキング音以外の雑音を除去し、前記雑音が除去されたノッキング音を推定するノッキング判定装置であって、
  ニューラルネットワークにより、前記雑音を除去し、かつ、前記ノッキング音を抽出するマスクを生成するネットワークの重み、及び、前記マスクにより抽出されたノッキング音をノッキング発生時の内燃機関の筒内圧に変換する伝達関数を学習する学習部と、
  ニューラルネットワークにより、前記マスクを用いて、前記雑音が含まれるノッキング音から前記雑音が除去されたノッキング音を推定する第2推定部
を備えることを特徴とするノッキング判定装置。

 ポイントは、雑音を除去してノッキング音を抽出するマスクに加え、ノッキング音を内燃機関の筒内圧に変換する伝達関数を学習する点である。
 これは、「本願発明では、教師データとして理想的なノッキング音の測定が困難なため、エンジンの近傍音に構造減衰補正量の逆数(伝達関数)を乗算すれば、エンジンの筒内圧を推定できることに着目」しているからであるという。
 つまり、どんな音が理想的なノッキング音かは主観によらざるを得ず、理想的なノッキング音の測定は困難なので、測定した音をエンジンの筒内圧に変換する伝達関数を導入することで客観的に評価できるようにした(筒内圧なら推定値と実測値の誤差を評価できる)。
 この発明は、評価が困難なパラメータを、客観的に評価できるパラメータに変換する伝達関数を合わせて学習するという工夫し、機械学習を可能にしたものである。

2021年3月30日火曜日

[AI関連発明]学習装置(特許6632770)

 (登録例25)

【請求項1】
  ニューラルネットワークを使用した学習を行う学習装置であって、
  学習条件として、学習済みのニューラルネットワークを使用して行う推論の目的と、前記学習装置のハードウェア資源の制約と、学習データの特性を示す情報と、設定された目標とを含む、学習の前提及び制約を取得する学習条件取得手段と、
  前記学習の前提及び前記制約に応じて、ニューラルネットワークの構造の枠組みとなる学習モデルを選択する学習モデル選択手段と、
  前記学習の前提及び前記制約に応じて、選択された前記学習モデルについてニューラルネットワークの規模を決定する学習モデル規模決定手段と、
  前記学習モデルを前記規模で構成したニューラルネットワークに、前記学習データを入力して学習を行う学習手段と、
  を有する学習装置。

 機械学習における手法のひとつであるディープラーニングを行う場合、目的、学習データの特性等に応じて、学習パラメータを設定する必要があるが、ユーザがこうした学習パラメータを設定することが困難な場合があることに鑑み、推論の目的、ハードウェア資源の制約、学習データの特定、目標等から学習モデルの選択と規模の決定を行う発明である。
 下線部に見られるように、学習条件を具体的に限定することにより、特許査定を得た。








2021年3月29日月曜日

[AI関連発明]関連妨害波提示装置(特許6669939)

 (登録例24)

【請求項1】
  妨害波を含むサンプルデータを機械学習することにより生成され、妨害波の特徴量に基づいて前記妨害波の属するクラスを特定する学習済モデルを用いて、参照された妨害波である参照妨害波の属するクラスを特定する、クラス特定部と、
  前記参照妨害波の属するクラスに基づいて、前記サンプルデータを検索し、関連する妨害波に関する情報である関連妨害波情報を生成する、関連妨害波情報生成部と、
  前記関連妨害波情報の一部又は全体を提示する制御を行う、提示制御部と、を備え
  前記参照妨害波は、周波数スペクトラムにおける特異的波形部分である、関連妨害波提示装置。

 学習済モデルを用いて、参照妨害波の属するクラスを特定すると共に、クラスに基づいて妨害波に関連する情報(例えば、妨害波を発生している部品等の情報)を生成し、提示するというものである。

 審査の過程で、新規性を否定する引用文献が示されたが、出願人は拒絶理由の発見されていない請求項2に限定することにより特許査定を得た。追加した特徴は、「参照妨害波は周波数スペクトラムにおける特異的波形部分を含む」というものである。特異的波形部分という用語は請求項とその引写し部分以外にないが、要するに、ピーク波形部分103を意味していると解される。
 ところで参照周波数領域(上記図の網掛部分)は上限と下限の周波数を選択することで設定することができる。つまり、追加された要件は、人が分析範囲を選択する際には、ピーク波形部分103を含むように選択すると言っている。装置の構成としてこの要件をどう理解するか、やや疑問ではあるが、特許査定のポイントとしては、入力データが引用文献との差別化ポイントであるということになる。






 

2021年3月28日日曜日

[AI関連発明]メール解析サーバ(特許6651668)

 (登録例23)

 発明は、受信したメールに対する返信の要否を、学習済モデルを使って推定するサーバである。
出願当初の請求項は以下のとおり。

【請求項1】(出願当初)  蓄積された受信メールに対する返信の有無を判定する判定部と、  返信されたと判定された受信メールに含まれる文字と返信されていないと判定された受信メールに含まれる文字の少なくとも一方を解析し、ニューラルネットワークを用いた機械学習によって機械学習モデルを構築する学習部と、  受信した受信メールに含まれる文字を、前記機械学習モデルを用いて、当該受信メールに対する返信の要否を推定する推定部と、を有する、メール解析サーバ。

 審査において、引例文献1に推定部の構成が含まれていないのは相違点とされたが、相違点については引用文献2に記載されていると判断された。
また、引用文献2(段落[0019]-[0025]等)には、前記「受信した受信メールに含まれる文字を、前記機械学習モデルを用いて、当該受信メールに対する返信の要否を推定する」に対応する、機械学習モデルを使用して、即時応答を必要とする電子メールを識別すること、例えば、電子メールの内容、電子メールの主題等に電子メールが送られた日時および現在の日時の量に言及しているかどうかを判断すること、電子メールがまだ応答が現在の日付時点で送信されていない場合、ユーザに電子メールに応答することを示唆し得ることが記載されている。

 これに対し、拒絶理由が発見されていない請求項2の特徴を加えることで特許査定を得た。

【請求項1】(特許査定時)
  蓄積された受信メールに対する返信の有無を判定する判定部と、
  返信されたと判定された受信メールに含まれる文字と返信されていないと判定された受信メールに含まれる文字の少なくとも一方を解析し、ニューラルネットワークを用いた機械学習によって機械学習モデルを構築する学習部と、
  受信した受信メールに含まれる文字に対して前記機械学習モデルを用いて、当該受信メールに対する返信の要否を推定する推定部と、を有し、
  前記判定部は、
  前記蓄積された受信メール及び蓄積された送信メールを対比し、前記送信メールの本文に、前記受信メールの本文の一部を含むか否かを判定し、
  前記送信メールが前記受信メールの本文の一部を含む場合、当該受信メールは返信されたと判定する、メール解析サーバ。

 出願当初の請求項1との違いは、機械学習モデルを構築するための教師データの作り方(受信の有無の判定の仕方)である。教師データの作り方を具体的に特定することにより、引用文献との違いを出した。

2021年3月27日土曜日

[AI関連発明]異常監視装置(特許6722836)

 (登録例22)

【請求項1】
  金型の分割部を表した学習用画像を機械学習することによって生成された学習済みモデルと、カメラによって前記分割部を撮像して取得された撮像画像とに基づいて、前記分割部が異常状態であるか否かを判定し、前記分割部が異常状態であると判定したとき、型締めを停止させるための停止指示を出力する、制御部を有し、
  前記学習済みモデルは、前記分割部を照明する照明の種類及び前記カメラの種類を変化させて撮像することによって作成した前記学習用画像に基づいて生成された第1学習済みモデルを有する、
  異常監視装置。


 射出成型の金型の分割部の異常を監視するシステムの発明である。出願当初の請求項1は国際調査報告で進歩性なしと判断されたが、進歩性が認められた元の請求項5を新しい請求項1とし、特許査定を得た。
 上記下線部に見られるように学習済みモデルについて、教師データとして、照明の種類及びカメラの種類を変化させて撮像した画像を用いることを限定した。教師データが新しいことにより、特許が認められた例である。


2021年3月26日金曜日

[AI関連発明]作物生育ステージ判定システム(特許6638121)

(登録例21)

 【請求項1】
  作物生育ステージ判定システムのサーバ装置であって、
  作物の形状を抽出可能に撮影した画像情報を複数入力する第1の画像入力部と、
  上記第1の画像入力部で入力した複数の画像情報それぞれについて当該作物の生理的な発育程度を表す生育ステージの情報を入力するステージ情報入力部と、
  上記第1の画像入力部で入力した複数の画像情報と上記ステージ情報入力部で入力した生育ステージを示す情報とに基づいて、作物の画像と生育ステージとの対応付けの深層学習を行なって学習済モデルを構築する学習部と、
  生育ステージの不明な作物の形状を抽出可能に撮影した画像情報を入力する第2の画像入力部と、
  上記第2の画像入力部で入力した画像情報に対し、上記学習部で構築した学習済モデルに基づいて生育ステージを判定するステージ判定部と、
  上記ステージ判定部で判定した生育ステージの情報を出力する出力部と、
を備える作物生育ステージ判定システムのサーバ装置。

 国際調査報告で新規性、進歩性なしと判断されたのに対応した自発補正を行い、拒絶理由を受けることなく特許になった。上申書における出願人の主張は以下のとおりである。
 引例1は、農作物中の収穫部分自体の色及びサイズから収穫時期を判定するものであるが、判断となる基準が異なる。引例2は、NDVI(色情報)を用いて成育ステージの分類を行っているが、これは葉色の変化を捉えているので太陽光の影響や葉の表裏で反射強度が異なることが誤判定の原因となり、不適切な方法である。本願は色の情報を排除して((注)クレーム上、排除されていないのでは??)作物の個体の形状から成育ステージを判断するようにしたものであり、何を対象として学習し分類するかが異なっている。
 
 おそらく引例との差異はあるのだろうと思われる。ただし、作物の個体の形状から成育ステージを判定することは、農家の人が通常行っていることであろう。にもかかわらず、そうした証拠がなければ特許になるという例である。
 作物の形状から成育ステージを判断したことが新しい?ため特許になったと分類されようか。

2021年3月25日木曜日

[AI関連発明]内視鏡画像処理システム(特許6632020)

 (登録例20)

【請求項1】
  管腔臓器内の内視鏡により撮像された内視鏡画像を取得する画像取得手段と、
  第一の学習済みモデルに対して前記取得された内視鏡画像を与えることで、該内視鏡画像を撮像した内視鏡の位置及び方向を示す位置情報及び向き情報を取得する第一モデル処理手段と、
  前記取得された位置情報及び向き情報と前記取得された内視鏡画像とを関連付けて格納する格納手段と、
  を備え、
  前記第一の学習済みモデルは、教師用内視鏡画像を撮像した内視鏡の位置及び向きの正解を該教師用内視鏡画像に対して関連付けた複数の教師データに基づいて、機械学習されている、
  内視鏡画像処理システム。

 「研修医が内視鏡を適切に動作させる手技を習得しようとした場合、指導医の下で訓練を受けなければならず、指導医の負担の増加などの問題が生じている。また、医師が自身で操作する内視鏡の動作の良し悪しや自身の内視鏡手技の習熟度を自己判定できないといった問題もある。」ということに鑑み、「内視鏡画像を用いた内視鏡動作の支援を可能とする技術」を提供するものである。
 具体的には、内視鏡画像から内視鏡の位置及び向きの正解を推定するという構成を備えている。
 内視鏡画像から病理タイプを識別することはいくらでも行われているが、内視鏡操作の手技に着目して、位置や向きを出力させることは珍しいのかもしれない。
 ただ、医師が実際に内視鏡を動作させる際には、臓器内を網羅したか把握しているはずなので、撮影された画像から無意識のうちに位置や向きを理解しているとは思われる。


2021年3月24日水曜日

[AI関連発明]調理支援システム(特許6692960)

(登録例19)
 
【請求項1】
  調理者により食材がカットされて生成された食材片のサイズを特定する第1特定部と、
  前記特定された食材片のサイズを入力として、機械学習により生成された推定モデルを用いて、前記食材片の最適な加熱調理時間を推定する推定部と、
  前記推定された加熱調理時間を前記調理者に通知する通知部と
  を備える調理支援システム。

 「従来の調理支援システムでは、調理者が誤って又は自身の好みによりレシピと異なる大きさに食材をカットした場合に、そのカットされた食材片のサイズに応じてその後の加熱調理の時間を自動的に変更することができなかった。」という課題に鑑み、実際の調理の状況に応じて調理時間を推定できるようにした発明である。
 その方法はシンプルで、食材片のサイズを入力として最適加熱調理時間を推定するというものである。
 審査において拒絶理由が示されていない。推定に用いる入力パラメータが新しいと特許になる例といえる。



2021年3月23日火曜日

[AI関連発明]音評価AIシステム(特許6684339)

 (登録例18)

【請求項1】
  既知の音、および、所定プロフィールを有する被験者による前記音の主観評価を格納するデータベースと、
  前記データベースに基づき、前記音から前記所定プロフィールを有する被験者による前記主観評価を推定するトレーニングを行ったのち、未知の音から前記所定プロフィールを有する被験者による主観評価を推定する推定手段と、
  を備えることを特徴とする音評価AIシステム。

 従来から「人の感性によって解釈される物理量を入力し、その主観量をニューラ ルネットワークによって予測する発明」が知られていたが、「被験者のプロフィールごとに主観量が異なることは何ら想定されていない」。
 そこで、「入力したプロフィールに係る各被験者が感じると思われる主観量を推定することを課題」とし、主観評価を推定するためのデータベースを、所定プロフィールを有する被験者ごとにトレーニングするようにしたものである。
 学習済みモデル(ここではデータベース)を評価対象ごとに用意したことが新しいため、特許になったといえる。

2021年3月22日月曜日

[AI関連発明]警備システム(特許6659890)

 (登録例17)警備システム

【請求項1】
  警備モードの切り替えを行うためのユーザ操作が入力されるユーザ端末と、ユーザからの音声指示が入力される情報端末と接続される警備システムであって、
  前記警備モードの切り替えが行われたときのユーザ操作に関する情報と、当該ユーザ操作が行われた時点を基準とする所定の判定期間内に前記情報端末に入力された音声指示に関する情報との関係を、機械学習により分析する機械学習部と、
  前記情報端末にユーザからの音声指示が入力された場合に、当該音声指示に関する情報を前記情報端末から取得する情報取得部と、
  前記機械学習部で分析した関係に基づいて、前記情報取得部で取得した音声指示に関する情報を入力として、前記警備システムで設定されるべき警備モードを推定する推定部と、
  前記警備システムで設定されている警備モードが前記推定部で推定された前記警備システムで設定されるべき警備モードでない場合に、前記警備システムで設定されるべき警備モードへの警備モードの切り替えをユーザに提案する提案部と、
を備えることを特徴とする警備システム。

 この発明は、ユーザが音声指示したときに、設定されるべき警備モードを推定し、現在の警備モードが設定されるべき警備モードであるか否かを判定する(S3)。音声指示から警備モードの推定は、警備モードの切り替えが行われたときのユーザ操作に関する情報と、そのユーザ操作の時点を基準とした所定の判定期間(例えば10分)内に情報端末3に入力された音声指示に関する情報との関係に基づいて機械学習されている。
 そして、現在の警備モードが設定されるべきモードでない場合は、警備モードの切り替えを提案する(S4)。これにより、セキュリティの操作忘れを低減し、特に在宅中のセキュリティ利用率を高めることができるというものである。
 この発明は、「従来のシステムにおいては、複数の警備モードのうちユーザに対して最適な警備モードを提案することについては、考慮されていない。」(段落【0004】)という点に着目してなされたものであり、着眼点が新しいために、引用文献が見つからなかったと思われる。

 



方法発明の間接侵害が否定された例(令和6年(ワ)第70583号)

  液晶キーボードのキーの背景画像を着せ替える方法に関する特許を有する原告らが、文字入力キーボードアプリ「Simeji」を製造販売するバイドゥ株式会社を訴えた事件である(東京地裁民事第46部・令和8年4月15日判決)。実際に本件各発明に係る方法を使用するのは、被告製品をインストー...