2021年3月14日日曜日

[AI関連発明]自動図化装置(特許6730501)

(登録例9)自動図化装置

【請求項1】
  線で表現された地図を自動作成するための装置であって、
  測量により得られた三次元点群データから測量対象を表す点群の法線ベクトルを求める法線ベクトル算出部と、
  水平面または垂直面に対する前記法線ベクトルの角度を求める角度算出部と、
  前記角度に応じて測量対象の各部に色付けをすることにより、前記測量対象を表す点群の分布状態を色の違いで表現したカラー画像を生成する点群分布可視化部と、
  前記点群分布可視化部により生成されたカラー画像から、線で表現すべき部分を含む画像を第1の学習済みモデルを用いて抽出する線抽出部と、
  前記線抽出部により抽出された画像に基づいて細線化画像を生成する細線化画像生成部と、を有し、
  前記第1の学習済みモデルは、線で表現すべき部分を含む画像を入力画像とし、線の画像を教師画像として、機械学習を実行することにより得られた学習済みモデルであり、
  前記点群分布可視化部は、前記法線ベクトルの角度と予め設定した色相環との関係とに基づいて、前記法線ベクトルの始点ごとに色付けを行うことを特徴とする自動図化装置。


 本件発明は、三次元点群データからカラー画像を生成することで可視化し、さらにカラー画像から線分画像を求める発明であり、線を抽出するときに学習済モデルを用いるものである。
 審査過程で2回拒絶理由通知が出され、上記特徴については、引用文献に記載されていると判断された。
 これに対し、出願人は、点群分布可視化部の構成を限定し、以下のように主張した。
「本願発明は審査官が指摘されているように「正規化法線ベクトルを、3次元極座標系(r、θ、φ)の各成分をR値、G値、B値に割り当てたカラー画像(すなわち、水平面又は垂直面に対する角度の違いを色の違いで表現した画像)を用いる」ものではなく、補正後の請求項1、3及び5に記載された本願発明から明らかなように、「前記法線ベクトルの角度と予め設定した色相環との関係とに基づいて、前記法線ベクトルの始点ごとに色付けを行う」ように構成されております。従って、本願発明と引用文献1所載の発明とはその構成、手段が全く異なります。」

 点群分布可視化部は、学習済モデルを用いた処理ではなく、点群データにどのようにして色を与えるかという構成である。したがって、本件は、学習の処理に特許が認められたというより、学習の部分は引用文献から容易に想到し得るが、それ以外の部分で差異が認められた例である。


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