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2021年9月8日水曜日

無効審判と異議申立 2020年実績を更新

  特許行政年次報告書2021年版を受け、無効審判と異議申立の比較データを更新。



 異議申立の取消率は昨年とほぼ同じ。
 無効審判の無効率がかなり上がっている。昨年の投稿で、無効審判の無効率が下がってきていると書いたが、考えてみると、計算対象となっている無効審判の総数が100件台と母集団が少ないので、年によって若干のブレがあるのは自然であり、2015年~2020年の数字はその範囲内と思われる。
 対して、異議申立の方は母集団が1000件台であり、取消率の変動が小さいのはそのためかもしれない。
 両制度を比較すると、若干、無効審判の方が無効率が高いということが言える。




2021年9月7日火曜日

特許行政年次報告書2021年版


・特許査定率は?
 2019年の実績は、日本と米国は75%程度、韓国(7割弱)、欧州(6割強)がこれに続く。衝撃的に低いのが中国であり、なんと44.3%! 
 中国は特許査定率の定義を公表していないので、他国と同じ土俵で見てよいのかは分からないが、中国の過去の査定率と比べても2017年の56.4%から2年連続で下がっている。

・特許の最終処分までの期間は?
 日本と韓国が最速で14~15カ月。米国と中国は20カ月強。欧州は28カ月。日本特許庁は優秀ですね。

・意匠の最終処分までの期間は?
 約7カ月。ここ数年横ばい。

・商標の最終処分までの期間は?
 約11カ月。2016年~2020年まで年々遅くなっている。
 なお、商標は、約6か月で最初の審査結果通知を行う「ファストトラック審査」がある。指定商品・指定役務を「類似商品・役務審査基準」に掲載の商品・役務のみとすることで自動的にファストトラック審査の対象となる。

・拒絶査定不服審判をしたら、拒絶査定が覆る可能性は?
 2020年の審理結果によれば、請求成立の確率は、5332/(5332+2310)≒0.7。
 これは審決に至った件数であり、前置審査もあるので、審判請求して特許査定が得られる可能性はもっと高いのではないか。
 2020年の前置報告と前置登録のそれぞれの件数は、6159件、8719件なので、前置審査で登録になる確率は、8719/(8719+6159)≒0.59。
 総合すると、審判請求と同時に補正をした場合は、前置審査で登録か、前置報告の上で登録になればよいから、0.59+0.41×0.7=0.877。ただし、補正をしないで審判した場合と、前置審査でダメだったものが審判にかかった場合とでは成功率は違うと思われるので、こんなに高い確率にはならず、7割5分くらいだろうか。





2020年9月9日水曜日

無効審判と異議申立

 

 無効審判と異議申立のどちらの方が特許を潰せる可能性が高いですか?という質問を受けることがある。

 感覚的には、異議申立の取消決定のハードルは非常に高いのだが、統計的にはそうでもない。

無効率

取消率

2019年

16.0%

13.5%

2018年

15.2%

12.9%

2017年

21.0%

10.5%

2016年

25.1%

7.8%

2015年

17.8%

0.0%

※無効、取消は一部無効、一部取消を含む

(特許行政年次報告書2020年版<統計・資料編>のデータを加工) 

  

 面白いことに無効審判による無効化率は低下してきており、異議申立の取消率が上がってきている。このため、感覚と統計データとのギャップがあるのかもしれない。

 ところで、取消率が13.5%というのは非常に低いという印象を持たれるかもしれないが、これは、訂正により生き残る場合には、取消にカウントされないためである。

 


 (特許庁HP「特許異議申立の統計情報」より)


上記の審理結果の内訳から、かなりの案件で訂正させることには成功していることが分かる。



2020年7月26日日曜日

早期審査について

 早期審査と特許査定率の関係について、データベースで調べてみた。方法は次のとおりである。 

 

 すでに審査がほぼ終了していると思われる、2005年1月1日から2015年12月31日に出願された案件を対象とした。これらを査定種別により、査定なし、登録査定、拒絶査定に分けた。拒絶査定の中には審判で登録審決と受けているものもあると思われるので、それらについては登録に含め、逆に拒絶査定の件数から登録審決の件数を差し引いた。 

 登録と拒絶のそれぞれについて、審査の報告書が作成されているものとそうでないものに分けた。厳密には、早期審査の報告書があっても、「早期審査を行わない」としたものもあるかもしれないが、概ね、早期審査は認められるという前提である。このようにして、早期審査の有無と登録/拒絶を分類すると、以下のようになった。 


  

早期 

非早期 

登録査定、登録審決 

128,054件 

1,840,751件 

拒絶査定(登録審決を除く) 

12,213件 

593,011件 

登録:拒絶 

10.5:1 

3.1:1 


 この表によれば、ずいぶんと多く登録されているようであるが、これは査定なし(審査請求せず)の件数を除外し、審査請求された案件のみ計上しているためである。 

 非早期の案件では、審査請求をした案件では、拒絶1に対し登録3.1の割合であった。これに対し、早期審査を行った案件では、拒絶1に対し登録10.5の割合であり、極めて高い確率で特許が得られている。これは早期審査を行う案件は特許権者が自信を持っている案件だからなのか、審査の関係なのかはわからない。

 そこで、登録された案件に対する無効審判及び異議申立の件数についても調べてみた。

 

  

早期 

非早期 

登録査定 、登録審決

120,054件 

1,840,751件 

無効審判、異議申立がされた件数(割合) 

1,043件 

(8.7%) 

3,957件 

(0.21%) 

 

 早期審査で登録を受けた案件の方が、一般的に権利者が権利活用に積極的であり、第三者から無効の請求や異議の申立てをされる可能性が高いということはことは想像がつく。しかし、これほどまでに差が大きいと、早期審査案件の方が権利に瑕疵があることが多いのではないかと思ってしまう。 

 早期と非早期の案件で、無効審判又は異議申立の成功率に差があるのか調べたかったが、自分が使っているデータベースでは簡単ではないようであった。 

方法発明の間接侵害が否定された例(令和6年(ワ)第70583号)

  液晶キーボードのキーの背景画像を着せ替える方法に関する特許を有する原告らが、文字入力キーボードアプリ「Simeji」を製造販売するバイドゥ株式会社を訴えた事件である(東京地裁民事第46部・令和8年4月15日判決)。実際に本件各発明に係る方法を使用するのは、被告製品をインストー...