2021年4月9日金曜日

[AI関連発明]画像処理装置(特許6696095)

 (登録例)
【請求項1】(出願当初)  ニューラルネットワークにより入力画像を処理し、前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、前記入力画像における部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出する算出部を備える画像処理装置。

 この発明は、予め学習済みのニューラルネットワークを用いて、部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を求め、求めたホワイトバランス調整値を使ってホワイトバランス調整を行う画像処理装置である。
 出願当初の請求項は、上記のように、ニューラルネットワークを使って部分領域毎のホワイトバランス調整値を求めるというだけしか規定していなかった。これに対して、進歩性なしの拒絶理由通知が出された(明確性違反も出ているが割愛)。
 引用文献1には、撮像装置で得られた画像を子画面に分割し、子画面ごとの色温度のヒストグラムから、子画面をグループ分けした各グループのホワイトバランス調整値を求めることが記載されている。他方、引用文献2には、予め学習させたニューラルネットワークに撮影画像を入力し、光源種を出力することが記載されている。引用文献1に係る発明に引用文献2に記載されたニューラルネットワークの技術を適用することで、本願発明に容易に想到し得るとされた。
 このように、ニューラルネットワークで処理するか否かという点だけが相違点の場合には、同一技術分野でニューラルネットワークが使われていることを示されて、組み合わせによって進歩性を否定される。
 
 本件は、請求項1に、進歩性の拒絶理由が発見されなかった請求項2の特徴を加えることで、特許査定を得ている。
 
【請求項1】(特許クレーム)
  ニューラルネットワークにより入力画像を処理し、前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、前記入力画像における部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出する算出部を備え
  前記算出部は、前記ニューラルネットワークにより前記入力画像を処理することによって前記入力画像に含まれる複数の画素のそれぞれに対応する複数のフィルタを生成し、前記入力画像に前記複数のフィルタを適用して得られた画像と前記入力画像とに基づいて、前記入力画像における前記部分領域毎に異なるホワイトバランス調整値を算出し、
  前記ニューラルネットワークは、
    前記入力画像を入力とし、前記複数のフィルタのフィルタ係数を出力し、
    既知の照明光下で撮像されることによって得られた画像と、前記既知の照明光下で撮像されることによって得られた画像に前記既知の照明光に基づくホワイトバランス補正を施した画像とを用いた機械学習により構築されている画像処理装置。

 

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