例 |
発明概要 |
判断 |
1 |
ユーザが購入したい2つ以上の商品を選択すると、ユーザの現在位置に基づき、商品を購入するのに最適なルートを提示する発明 |
ユーザに2つの商品を選択させ、その2つの商品を購入する最適ルートを提供するというビジネス上のアイデアは技術的課題を設定する際には、満たすべき制約として与えられる。 その制約を満たすために技術的に何をしたか、という問題になる。進歩性なし。 |
2 |
貨物輸送のオファーとデマンドをユーザの現在位置に基づいてマッチングする発明 |
請求項の構成要件において、技術的な構成要素が主体となっていないため、ビジネス方法と技術的特徴が分離された。GPS端末を使った受注管理という全く違う先行技術を元に進歩性なし。 |
3 |
放送メディアを送信する際に、データ接続の最大レートで伝送を行うのではなく、ユーザが契約したデータレートで伝送するシステムの発明 |
最大レートより低いデータレートで送信するのは、顧客がその価格モデルに従ってデータレートのサービスレベルを選択することを可能にするという商業目的である。技術的課題を設定する際に、制約として与えられる。進歩性なし。 |
4 |
赤外線カメラの画像に基づいて、建物内の結露のリスクのある領域をユーザに示す発明 |
先行技術との相違点は、赤外線カメラを使ったこと、過去の平均温度・湿度を用いて結露温度を計算したこと。 相違点は、技術的効果に貢献する。技術的課題は、表面上の結露のリスクをより正確かつ信頼性の高い方法で判断する方法である。進歩性あり。 |
5 |
被処理物をコーティングする方法に関し、溶射コーティングプロセスのパラメータを自動調整する発明 |
先行技術との相違点は、ニューラルネットワークかニューロファジーコントローラか。 相違点に起因する効果がなく、代替解決策の提供にすぎない。進歩性なし。 |
2022年4月18日月曜日
[EP]技術的特徴と非技術的特徴からなるクレーム (審査ガイドライン)例1~5まとめ
例1~例5の概要は以下のとおり。
上記の例から分かる注意点としては、次のようになる。
・相違点が、ビジネス上のアイデア、商業目的をアルゴリズム化したもの。
→例1,例3 ビジネスアイデアは要求仕様として与えられる。進歩性なしとなり勝ち。
→例2 書き方が悪いと、技術的側面として残るのは、コンピュータやGPSだけ。
・相違点が、技術的効果に貢献する。→例4 進歩性ある可能性(副引例との関係)
・相違点に起因する技術的効果なし。→例5 進歩性なし。寄せ集め。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
請求項における「所望」の用語(令和6年(行ケ)10050号)
請求項においては、権利範囲を不確定とさせる表現がある場合、明確性違反(特許法36条6項2号)となる場合がある。審査基準に挙げられた例は、「約」、「およそ」、「略」、「実質的に」、「本質的に」等である。 「所望」という文言も場合によっては不明確となり得る用語であると思われる。と...
-
LESの米国問題WGのメモ。詳細は、後日発行されるLES JAPAN NEWSを参照。 Broadcom Corp. v. International Trade Commission (Fed. Cir. Mar. 8, 2022) 国内産業要件を満たさないとしたITC決定を...
-
備忘メモ: 日本ライセンス協会のワーキンググループでの学び ・IPRにおけるクレーム解釈 IPRが請求されるとPTABは、請求人の主張が認められる合理的な可能性があるかどうかを判断し、可能性ありの場合に審理開始の決定を行う(米国特許法314条(a))。 この際のクレーム解釈と...
-
拒絶査定不服審判の審決取消訴訟である。本願発明は、スピーカを有するがテレビではない制御対象機器の状態(スピーカの音質又は音量)を制御するモバイル機器等の制御装置(タッチパネルディスプレイを有するもの)に関する。 こうした制御装置においては、タッチパネルディスプレイに表示された...
0 件のコメント:
コメントを投稿