2021年11月22日月曜日

Re就活 vs リシュ活 その後 

 被告である一般社団法人履修履歴活用コンソーシアムのホームページに、「リシュ活」商標権侵害訴訟のこれまでの経緯と和解内容についての報告が記載されている。
 https://risyu-katsu.jp/news/1119/

 公開された和解条項によると、原告は、リシュ活がRe就活の商標権侵害に該当しないことを認めると記載されている。
 原審で侵害認定されているにもかかわらず、原告が非侵害を認めて和解したということは、高裁では、リシュ活とRe就活とは非類似であるとの心証が開示されたのであろう。
 原審の判断には驚いたが、妥当な判断に落ち着いたといえる。

 なお、特許庁も異議申立事件(異議2019-900352)において、リシュ活とRe就活が類似しないと判断している。原審では称呼の類似性がキーになったが、この点についての特許庁の判断は次のとおりである。
「また、称呼についてみるに、引用商標は、「就活」の文字の語頭に「Re」の欧文字を付した構成からなるところ、語頭に「re」を有する親しまれた英単語である「reaction(リアクション)」、「reform(リフォーム)」、「reset(リセット)」、「regain(リゲイン)」が、「re」の直後の音節にアクセントを置いて発音されること、及び、「就活」の文字は「シューカツ」と一気に称呼される親しまれた略語であることに照らすと、その全体から生ずる「リシューカツ」の称呼は、第1音節の「リ」の音を明瞭に発音した上で、第2音節の「シュー」の音にアクセントを置いて「シューカツ」と一気に称呼されるものといえる。さらに、当該「シュー」の音は、長音を伴うために、より強調して聴取されるものである。
 これに対し、本件商標から生じる「リシュカツ」の称呼は、短く平坦に称呼されるものである。
 してみれば、これらの差異が、5音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいい難く、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれはなく、十分に聴別し得るものである。」


2021年9月20日月曜日

[記事]中国での侵害訴訟事情


[要点]
・中国での知財訴訟件数が右肩上がり(2020年は40万件以上。多くは著作権。)
・特許侵害訴訟は、3万件弱。
・2021年6月から施行の改正法で、懲罰的損害賠償制度(~5倍)、立証容易化(書類提出命令の明文化)がなされた。
・5GやAIは中国が国を挙げて技術開発を行っている分野であり、今後、訴訟が増える可能性あり。

2021年9月16日木曜日

[記事]6G特許シェア

[ポイント]
・6Gは2030年頃の商用化が見込まれる。
・特許出願のシェアは、中国45%、米国35%、日本10%。
・中国はインフラ系が強く、米国はソフト系に強い。
・ファーウェイは、6G特許取得に動いている。8月社内会議の議事録。
・日本は「アイオン」構想を6Gの標準にしたい。

※「アイオン(IOWN)」構想
・・・Innovative Optical and Wireless Network。オールフォトニクス・ネットワーク、デジタルツインコンピューティング、コグニティブ・ファウンデーションの3要素でスマートな社会を実現する構想

2021年9月15日水曜日

特許法の改正/施行期日

 特許法等の改正の施行期日が閣議決定された。

【デジタル化等の手続の整備】
 ・審判口頭審理のオンライン化 (令和3年10月1日)
 ・印紙予納廃止・料金支払方法の拡充 (令和3年10月1日)
  ※窓口でのクレジットカード支払い等 (令和4年4月1日)
 ・意匠国際出願手続のデジタル化 (令和3年10月1日)
  ※商標国際出願手続については別途決定 
 ・災害等の理由による手続期間徒過後の割増料金免除 (令和3年10月1日) 
【デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し】
 ・訂正審判等における通常実施権者の承諾要件の見直し (令和4年4月1日)
【知的財産制度の基盤強化】
 ・特許権侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入 (令和4年4月1日)
 ・特許料等の料金体系の見直し (令和4年4月1日)
 ・弁理士制度の見直し (令和4年4月1日)


 

2021年9月11日土曜日

[記事]Apple vs. Epic (アプリ手数料)


 (ポイント)
・Apple vs. Epic の判決が9月10日に出された。
・アプリ開発者にアップル以外の課金方法に誘導することを禁ずる規約は、反競争的な行為にあたる。(Epicはこの規約に違反して独自の課金方法を提供したため、Appストアから締め出されていた。)
・アップルは、反トラスト法にいう独占企業とは認められない。

 なお、判決はまだ確定していない。



2021年9月8日水曜日

無効審判と異議申立 2020年実績を更新

  特許行政年次報告書2021年版を受け、無効審判と異議申立の比較データを更新。



 異議申立の取消率は昨年とほぼ同じ。
 無効審判の無効率がかなり上がっている。昨年の投稿で、無効審判の無効率が下がってきていると書いたが、考えてみると、計算対象となっている無効審判の総数が100件台と母集団が少ないので、年によって若干のブレがあるのは自然であり、2015年~2020年の数字はその範囲内と思われる。
 対して、異議申立の方は母集団が1000件台であり、取消率の変動が小さいのはそのためかもしれない。
 両制度を比較すると、若干、無効審判の方が無効率が高いということが言える。




2021年9月7日火曜日

特許行政年次報告書2021年版


・特許査定率は?
 2019年の実績は、日本と米国は75%程度、韓国(7割弱)、欧州(6割強)がこれに続く。衝撃的に低いのが中国であり、なんと44.3%! 
 中国は特許査定率の定義を公表していないので、他国と同じ土俵で見てよいのかは分からないが、中国の過去の査定率と比べても2017年の56.4%から2年連続で下がっている。

・特許の最終処分までの期間は?
 日本と韓国が最速で14~15カ月。米国と中国は20カ月強。欧州は28カ月。日本特許庁は優秀ですね。

・意匠の最終処分までの期間は?
 約7カ月。ここ数年横ばい。

・商標の最終処分までの期間は?
 約11カ月。2016年~2020年まで年々遅くなっている。
 なお、商標は、約6か月で最初の審査結果通知を行う「ファストトラック審査」がある。指定商品・指定役務を「類似商品・役務審査基準」に掲載の商品・役務のみとすることで自動的にファストトラック審査の対象となる。

・拒絶査定不服審判をしたら、拒絶査定が覆る可能性は?
 2020年の審理結果によれば、請求成立の確率は、5332/(5332+2310)≒0.7。
 これは審決に至った件数であり、前置審査もあるので、審判請求して特許査定が得られる可能性はもっと高いのではないか。
 2020年の前置報告と前置登録のそれぞれの件数は、6159件、8719件なので、前置審査で登録になる確率は、8719/(8719+6159)≒0.59。
 総合すると、審判請求と同時に補正をした場合は、前置審査で登録か、前置報告の上で登録になればよいから、0.59+0.41×0.7=0.877。ただし、補正をしないで審判した場合と、前置審査でダメだったものが審判にかかった場合とでは成功率は違うと思われるので、こんなに高い確率にはならず、7割5分くらいだろうか。





方法発明の間接侵害が否定された例(令和6年(ワ)第70583号)

  液晶キーボードのキーの背景画像を着せ替える方法に関する特許を有する原告らが、文字入力キーボードアプリ「Simeji」を製造販売するバイドゥ株式会社を訴えた事件である(東京地裁民事第46部・令和8年4月15日判決)。実際に本件各発明に係る方法を使用するのは、被告製品をインストー...