日本経済新聞2021年9月3日 やさしい経済学より
特許取得の企業収益に対する貢献についての記事である。
特許のライセンス料をとれれば、その特許がどのくらいの貢献があるかわかりやすいが、特許は公開されているので、通常は、第三者は特許を回避する方向に動くため、ライセンス料を取ることは容易ではない。特許を回避するために第三者に使わせたコストが、特許を保有する会社の利益という見方もできるが、これを測ることは不可能である。
記事では、特許が登録された時点で企業の株価が反応したかどうかによって特許の価値を測る研究が紹介されている。指標としては客観的であり、面白い。
米国の研究では、多くの特許の価値はゼロだが、一部の特許は非常に高い収益をもたらす。中位数で見ると、登録1件あたり3億円。
日本の研究では、特許取得のプレスリリースが株価に与える影響を調べており、特許の価値は650億円程度。ただし、これは医薬品特許を分析対象としているためと考えられる。
登録された特許を見てその権利範囲を理解できる人はそう多くないと思う。そうすると、特許取得したことが企業価値に良い影響を与えそうだ、という期待で上記の金額が形成されてるような気がする。そういう期待が生まれる業界かどうか、ということが株価の上記金額を決める一番のポイントかもしれない。
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