2020年7月23日木曜日

[US]審判請求後の口頭審理

 拒絶査定に対して審判を請求すると、それに対する審査官の回答が出され、その後、口頭審理を請求する機会が与えられる。口頭審理を請求すべきかどうかについて、米国弁護士から一般的な情報をもらったので、備忘のために記載しておく。

 通常は口頭審理を行う価値はない。その理由は大多数のケースで、口頭審理は結果に影響を与えてない。ほとんどのPTABの審判官は、口頭審理前に、書面に基づいて心証を固めているようである。口頭審理後の書面による決定も、口頭審理の内容をほとんど反映していない。その一方で、口頭審理における意図しない発言を通じて、悪影響を及ぼす可能性がある。また、 USPTOと米国弁護士に対する費用は高額である。
 口頭審理が有用な例としては、ファミリーの特許がライセンスや訴訟の問題に関連している場合、特に戦略的な案件の場合が挙げられる。これらの場合は、口頭審理が重要になり得る。また、審判請求後の例ではないが、再審査や当事者系レビュー(IPR)などの付与後の手続きの場合にも重要になり得るとのことである。

 大多数のケースで影響を与えていないにもかかわらず、ライセンスや訴訟関連では重要になり得るというのは、要するに費用見合いということだろう。つまり、周到な準備をして不用意な発言をしない限り、口頭審理をやってメリットこそあれデメリットはない。口頭審理は、結果に影響を及ぼす可能性が小さいかもしれないが、重要案件では費用をかける価値がある。

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