2020年9月9日水曜日

無効審判と異議申立

 

 無効審判と異議申立のどちらの方が特許を潰せる可能性が高いですか?という質問を受けることがある。

 感覚的には、異議申立の取消決定のハードルは非常に高いのだが、統計的にはそうでもない。

無効率

取消率

2019

16.0%

13.5%

2018

15.2%

12.9%

2017

21.0%

10.5%

2016

25.1%

7.8%

2015

17.8%

0.0%

※無効、取消は一部無効、一部取消を含む

(特許行政年次報告書2020年版<統計・資料編>のデータを加工) 

  

 面白いことに無効審判による無効化率は低下してきており、異議申立の取消率が上がってきている。このため、感覚と統計データとのギャップがあるのかもしれない。

 ところで、取消率が13.5%というのは非常に低いという印象を持たれるかもしれないが、これは、訂正により生き残る場合には、取消にカウントされないためである。

 


 (特許庁HP「特許異議申立の統計情報」より)


上記の審理結果の内訳から、かなりの案件で訂正させることには成功していることが分かる。



0 件のコメント:

コメントを投稿

「特許審査におけるAIの活用」(パテント2025年9月号より)

 2017年度の人工知能技術の活用に向けたアクション・プランの公表以降に、特許庁が行ってきたAI活用に関する様々な実証事業についての報告である。 具体的には、以下のタスクを実施したとのことである。 ・機械分類付与タスク  特許文献にFI、Fターム等の分類を付与する。 ・類似文章の...