2020年5月8日金曜日

AI関連発明 登録例

 AIの処理はブラックボックスであるため、AI関連発明は権利行使が難しいと考えられているが、次の登録例(特許第6664776号)はどうだろう。

【請求項1】
  建築物からなる構造物から測定される振動データを状態判別モデルに入力することによ り、前記構造物の異常を判別する構造物の異常判別方法であって、
  前記状態判別モデルは、データベースに格納されている正常振動データ及び異常振動データを含むビッグデータに基づいて、人工知能を含む機械学習及び統計学的手法を用いることにより作成したものであり、
  前記状態判別モデルに測定された前記振動データを入力し、当該状態判別モデルからの 演算結果に基づいて、前記構造物の現在状態を判別することを特徴とする構造物の異常判別方法。

 この発明が言っているのは、振動データと正常/異常のデータを使って学習されたモデルに対し、振動データを入力することで正常/異常の状態を判別するというだけである。被疑侵害者が、「振動データをAIで解析して状態を判別します」等と謳っていれば、侵害を主張できそうである。
 振動データを使って構造物の状態を判別することは、従来から知られていたようなので、それに対して機械学習を適用しただけ、という気がしたので、登録されていることにやや驚いたが、有効を前提とすれば怖い特許である。

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