患者および医師等に医療情報を提供する情報処理装置の特許に関する侵害訴訟である。判決文を読む限り、本件は、かなりクリアに侵害しているといえ、論点になりそうなものがない。
ソフトウェア特許は権利行使が難しいといわれることが多いが、本件のような特許であれば侵害の立証も可能であると思われる。対象特許の内容を紹介する。対象特許は2件あるが、親子の関係にあり、権利内容もほぼ同じである。
発明の概要は、下記のような医療情報を患者および医師等に提供する装置である。下記は、患者に提供される情報であるが、医師等に提供される情報は患者のバイタル情報等である。
発明の概要は、例えば患者が身に着けているリストバンド等から患者のIDを読み取って認証を行い(第1判定)、第1判定がOKの状態で、医師等のIDを入力することで認証を行って(第2判定)、医師等向けの医療情報を提供するものである。認証が2段階になっているところがポイント。1-1A 患者を識別するための第1患者識別情報を端末装置より取得する第1取得部と,
1-1B 前記第1患者識別情報と,患者を識別する情報としてあらかじめ記憶された第2患者識別情報とが一致するか否かを判定する第1判定部と,
1-1C 前記第1判定部が一致すると判定した場合,前記第2患者識別情報に対応する患者の医療情報を,前記端末装置へ出力する第1出力部と,
1-1D 前記第1判定部で一致すると判定された場合に,看護師または医師を識別するための第1医師等識別情報を前記端末装置から取得する第2取得部と,
1-1E 前記第1医師等識別情報と,看護師または医師を識別する情報としてあらかじめ記憶された第2医師等識別情報とが一致するか否か判定する第2判定部と,
1-1F 前記第2判定部が一致すると判定した場合,前記第2患者識別情報に対応する患者の医療情報のうち前記看護師または前記医師が必要とする医療情報を含む表示画面を,前記端末装置 へ出力する第2出力部と,を備える情報処理装置。
識別情報を取得するステップ(1-1A 、1-1D)と、情報を出力するステップ(1-1C、1-1F)は、そのような動作を行うことは見ればわかる。また、認証を行うステップ(1-1B、1-1E)は、識別情報を読み取ってログインを認めていることから明らかである。
このように外部からみて把握できる内容だけで発明を特定されていることが望ましい。
(参考URL)089734_hanrei.pdf (courts.go.jp)
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