特許法等の一部を改正する法律案が衆参両議院で可決された。
今回の改正の内容は、下記である。
【デジタル化等の手続の整備】
・審判口頭審理のオンライン化
・印紙予納廃止・料金支払方法の拡充
・意匠・商標国際出願手続のデジタル化
・災害等の理由による手続期間徒過後の割増料金免除
【デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し】
・海外からの模倣品流入への規制強化
・訂正審判等における通常実施権者の承諾要件の見直し
・特許権等の権利回復要件の緩和
【知的財産制度の基盤強化】
・特許権侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入
・特許料等の料金体系の見直し
・弁理士制度の見直し
このうち、訂正審判等における通常実施権者の承諾要件は、訂正によって権利範囲が狭くなると、通常実施権者の利益を損なうという趣旨から設けられていた制度である。
この要件に関しては、訂正の都度、全ての通常実施権者の承諾を得ることが負担であり、承諾が得られない場合には、無効審判に対する重要な防御手段が奪われるという問題があった。その一方で、訂正により権利範囲が狭くなり、通常実施権者の製品が権利範囲から外れても引き続き実施可能であるから、不利益が生じない。といった背景から、通常実施権者の承諾要件は外された。
なお、新しい条文では、承諾を要するのは専用実施権者と質権者であり、独占的通常実施権者の承諾も不要である。
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