2020年2月13日木曜日

ゲームプログラム事件(知財高裁 令和元年6月20日)

 拒絶査定不服審判の請求不成立に対する審決取消訴訟である。本願発明は、第1のプレイヤキャラクタと第2プレイヤキャラクタが対戦をする際に、第1のプレイヤキャラクタの情報及び第2のプレイヤキャラクタの情報に基づいて第3者キャラクタを抽出し、参戦させることで従来にない白熱した対戦ゲームを可能にするものである。これに対し、引用発明は、対戦ゲームにおいて、スコアの低い方(弱い側)のグループ(チーム)を支援する第三者勢力としてのNPCを登場させる。

 同一のレベルのキャラクタを登場させるか(本願発明)、人数を増減させるか(引用発明)という相違点について、複数の種類のキャラクタからレベルに応じたキャラクタを抽出することは周知技術であるとして、裁判所は、原告の請求を棄却した。
 
 原告は、本願発明と引用発明とは課題が異なると主張したが、裁判所は、引用発明1と周知技術Aとは従来技術の課題の共通性を理由として動機付けられるから、引用発明1に周知技術Aを適用することが困難となるということはできないとした
 つまり、組み合わせの動機付けには、組み合わせに係る引用発明どうしの課題が問題となるのであって、本願発明との課題の相違は問題とはならない。本願特許出願前の発明に基づいて、本願発明の構成に容易に想到し得たか、というのが進歩性の議論なので、これは妥当な判断といえる。

平成30年(行ケ)10166 (参考URL)088788_hanrei.pdf (courts.go.jp)


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