特許には、製品の質や企業の価値を伝達する機能がある、という論調を見つけたのでここにメモする。
(1)消費者に対するシグナリング機能
「2. 企業の知的財産権取得に関する実験経済学的分析」(平成30年度我が国の知的財産制度が経済に果たす役割に関する調査報告書)において、被験者に対して、「特許取得済」「意匠と登録済」「特許出願中」等のラベルを付与した説明文と「ラベルなし」の説明文を見せて、その製品を購入する際の支払意思額を入力させるという実験を行った。
この結果によれば、製品の品質等に関する不確実性が高いときや信頼感が醸成されていないときに(製品ライフサイクルの導入期等)、知的財産権のラベルは支払意思額を高める効果があった。また、どのような機能に対して権利が取られているかを明確に表示する方が効果が高かった。
知的財産のラベルは技術等の裏付けになるので、支払意思額を高めそうなことを漠然とは想像するが、それが確からしいことが分かった。
(2)資金調達におけるシグナリング機能
「スタートアップ企業にとっても特許権の取得は重要!」(特許行政年次報告書2019年版)というコラムにおいて、特許出願後にベンチャーキャピタルから資金を得られる確率がどのように変化するのかを記載している。これによれば、特許出願をした場合としなかった場合の資金獲得確率の比率は、下記のとおり。
コンピュータ産業では、特許出願をした場合はしなかった場合に比べ、資金獲得確率はなんと10.99倍!
特許出願という事実が効いて資金を獲得したのか、特許出願できるような技術力のある会社だったからなのか、という気は少ししたが、特許出願後からの経過日数との関係を見れば、特許出願が効いたという整理でいいのかな。
0 件のコメント:
コメントを投稿