2020年6月12日金曜日

[EP]ゲーム方法等の審査ガイドライン

 EPCの審査ガイドラインでは、G3.5.2において、ゲーム方法等の審査について記載している。

パートG 特許性

章 発明

3 除外されるリスト

3.5 精神的活動、ゲーム、ビジネスのためのスキーム、ルール及び方法

3.5.2 ゲームのためのスキーム、ルール及び方法

 ガイドラインは、EPOのホームページに記載されているので、そちらを参照していただくとして、内容をかいつまんで紹介する。

 まず、原則として、ゲームルール自体は、どんなにオリジナリティがあっても進歩性を生まない。EPOの審査においては、非技術的な要素は考慮されないからである。逆に、ゲームルールを特定する技術的手段を特定していれば技術的特徴を有する。

 ゲーム実装による進歩性は、エンジニアやゲームプログラマ等の当業者の視点で評価する。非技術的手段を言い換えるだけ(ゲームトークンの数を監視するための「勝利計算手段)、または、要約するだけ(「ゲームトークン」の代わりに「オブジェクト」)では、非技術的要素であり、進歩性に関係しないと記載されている。こうした観点で、クレームの構成要件をチェックすると良いかもしれない。

 日本の実務と異なることとして、日本では、発明の効果として娯楽性や興趣性に言及した明細書が見られるが、ガイドラインでは、娯楽性や興趣性は技術的効果ではないと明記されている。例えば、ゲームスコアや腕前のレーティングを計算する方法を構成要件とし、これにより娯楽性が向上すると記載しても、技術的要素とは考慮されない。


0 件のコメント:

コメントを投稿

[裁判例]先使用権についての裁判例(知財高裁令和3年(ネ)10086号)

 パナソニックが遠藤照明を特許権侵害で訴えた事件の控訴審である。ここでは先使用権の判断を取り上げる。  特許はLEDランプに関する発明である。LEDランプの中には複数のLEDチップが内蔵されている。LEDは放射角が比較的狭いので筐体を透過するLEDの光の輝度差が生じ、ユーザに光の...